
未経験でも電験2種を転職に活かせる?|第2種電気主任技術者の需要がある現場や実際の求人数を紹介
- 転職×電験
- 2025.06.10
「電験3種を取得したものの、あまり転職に活かせない…」
「電験2種も取得したほうがいい?」
「電験2種の求人ってどのくらいあるの?」
電験を活かした転職を考えている方で、このように悩まれている方の声をよく伺います。
もちろん、電験2種を活かせる求人は少なからずあります。
その中で、どんな現場・業種で電験2種を活かせるのか、電験2種があれば未経験でも電気主任技術者に転職できるのか、など電験2種の転職事情をまるっとお伝えします。
電験2種を活かした転職を考えている方、未経験から電気主任技術者を目指したいと考えている方は、ぜひここで紹介する転職事情を参考にしてみてください!
★この記事で分かること★
✅電験2種を活かせる現場
✅電験2種を活かした働き方
✅電験2種の求人数・年収
✅電験2種を活かした転職のメリット・デメリット
01|電験2種はどのような資格?
電験とは、「電気主任技術者試験」という国家試験の略称であり、1種~3種に分けられています。
電験2種に合格することで、17万V未満の事業用電気工作物の保安監督を担うことができるようになります。
以下に、電験1種~3種それぞれの資格で認められている電気工作物についてまとめてみます。
保安監督できる電気工作物 | 対象施設の例 | |
3種 | 電圧5万V未満の事業用電気工作物(かつ出力5,000Kw未満の発電所) | 工場、ビル、コンビニ、小規模太陽光発電設備 |
2種 | 電圧17万V未満の事業用電気工作物 | 大規模工場・ビル、発電所、変電所、中規模の太陽光発電設備 |
1種 | すべての事業用電気工作物 | 大規模変電所、大型発電所 |
電験2種を取得するための試験(電気主任技術者試験)は、例年8月第3土曜日に実施されています。
ここ5年の合格率は5%~8%。
平成9年以降の28年間の平均で見ても5%と、合格率10%を切る難関資格であることが分かります。

合格率が低いことから、希少価値が高い資格であることは間違いありません!
02|電験2種が活かせる現場

電験2種の資格を活かせる現場の例をまとめてみました。
・ビル
・商業施設
・工場
・プラント
・データセンター
・太陽光
・風力
・バイオマス発電所
など
電験3種では「5万V未満(かつ出力5千kW以上の発電所を除く)の事業用電気工作物」の保安監督ができるのに対し、電験2種を所持している場合は「17万V未満の事業用電気工作物」の保安監督を行うことができます。
そのため、電験3種で対応できる設備よりもさらに大きい電圧の事業用電気工作物の選任として働くことが可能となります。
電験3種の場合、対応できる現場は中小ビルや小さめの工場であるのに対し、2種の場合は例に挙げたような大型商業施設や大きなビル・工場などの保安監督を担うことができます。
また、電験2種を活かせる現場は住んでいるエリアによって傾向が変わってきます。
都市部 | ビル、データセンター |
郊外 | 工場、プラント、発電所関係 |
などが、一般的な傾向です。

この業界の傾向を参考に、自分が働きたい地域でどんな求人がありそうか、という判断材料に少しでもしていただけるといいですね!
03|電験2種で転職する際の働き方
転職を考え始めたとき、転職活動を進める前に電気主任技術者の働き方をよく知ることが一番大切です。
電気主任技術者の働き方には、大きく分けて選任と外部委託という2つの働き方があります。
ただ、「電験2種を活かす」働き方は自然と「選任現場」がメインとなります。
外部委託の現場は高圧の施設が中心であり、電験3種でまかなえる働き方となるからです。
電験2種を取得しているということはすなわち「17万V未満の事業用電気工作物の選任を行える資格を持っている」ことになります。
選任の電気主任技術者になるための最低条件は「資格(電験)を所持していること」のみなので、「実務経験なし(未経験)で電験2種を活かす」場合においても、選択できる働き方になるのです。

電気主任技術者への転職の際は、まず働き方の違いを知った上で転職活動を進めていくのをおすすめします!
そうすれば、企業とのミスマッチや本当にやりたいことと違った、というような後悔に繋がりにくくなりますから!
選任で働く電気主任技術者が日々どのような業務をしているのか、具体的な仕事内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。
選任として働くイメージを持っていただくのに役立つかと思いますので、ぜひあわせてチェックしてみてください!
電気主任技術者の具体的な仕事内容とは?~選任と外部委託それぞれの一日の流れも紹介!~
【電験転職情報③】
04|未経験可の電験2種は少ない!?
一つの目線では、電験2種を活かした転職では、電験3種の転職よりも経験が求められることがあります。
企業側からすると、2種を取得されている方は3種を取得されてから何かしら経験があると想定している場合があるからです。
一方、地域によっては2種の方が集まりにくく、未経験も求める傾向もあります。
そのため、現場によっては電験2種で未経験でも応募できる求人も出てくるのです。

つまり、電験2種で未経験の場合でも応募できる求人はゼロではないということ...!
次に、電験2種・未経験で転職する際の注意点をご紹介していきます。
05|【2025年版】電験2種の転職事情
ここからは、2025年最新の電験2種の転職事情をまとめて紹介します。
今年転職を考えている方は、ぜひ求人を見るときの参考にしてみてください。
05-1|電験2種が必要な現場
電験2種が必要な現場がどのくらいあるのか、経済産業省から発表されているデータをもとに見ていきます。
直流750V以下 交流600V以下 | 直流750~7,000V未満 交流600~7,000V未満 | 7,000V以上 | ||
低圧 | 高圧 | 特別高圧 | ||
5,000kW未満 | 5,000kW以上 | |||
全国 | 51,997 | 861,381 | 6,418 | 4,251 |
構成比(%) | 5.6 | 93.2 | 0.7 | 0.5 |
データ参考:令和2年度末自家用電気工作物設置件数全国計|経済産業省
特別高圧の現場件数は約1万件。
そのうち、電験2種が必要な5,000kW以上の現場件数は4,000件ほど。
この件数は、全現場数の0.5%にしかならず、電験2種を必要とする現場は高圧と比べて非常に割合が少ないということが分かります。

電験2種を持った人材の希少性は高い中で、電験2種が必要な現場は非常に少なく、採用の競争率は高いと見ることができるのですが…
05-2|電験2種の求人数
では、電験2種の求人数はどうでしょうか?
調査した結果、電気主任技術者の求人件数は2025年2月現在で約8,600件。
そのうち電験2種の求人は1,600件ありました。
(弊社調べ)
割合で言うと約18%。
電験2種が必要な現場は0.5%でしたが、求人数としては2割弱ほどという結果でした。

ちなみに、求人件数は愛知県、東京、千葉、福島、神奈川、静岡という順に多かったです。
また、近畿圏についてはどの県も50件未満と、やや少なめだったのも意外でしたね。
05-3|電験2種求人の年収
年収帯が非常に幅広くなってしまいますが、未経験で電験2種を活かせる求人案内を見てみると、300万円~840万円ほどとなっています。
ただ実際には、上限とされる金額は何かしらの経験者に対しての年収のである場合が多いので、だいたい400万円台~500万円台が標準的な年収と思われます。
そうすると、電験2種を必要とする求人の傾向としては、電験3種の求人よりも100万円ほど年収が高くなることになります。
(電験3種の未経験求人の年収:300万円台~400万円台が多い)
ちなみに、近年継続して需要がある再エネ業界では、450~500万円ほどの年収となる場合が多いようですね。

再エネ業界の現場は地方であることが多いのですが、その分待遇面が手厚いという場合もあります。
また、転居が必要な場合に補助が出ることも。
希少価値が高いことから、電験3種を活かした転職よりも高い年収が見込めるケースが多くなっているようです。
05-4|電気主任技術者の人材不足の現状は?
電気主任技術者は近年、人材不足の問題が懸念されています。
経済産業省からは、「新たな対策を講じない場合、2030年度時点で、第2種電気主任技術者は、再エネ設備の増加が見込まれるとの主に需要側の要因から、約1,000人不足する可能性」があるという需給見通しが発表されています。
引用:電気主任技術者制度について|経済産業省
電験2種はとくに、再エネ業界の活発化によって需要が増加していくのに対して人材の供給は減少していくだろうと予想されているのです。

この現状を改善するためなのか、3種の受験回数が年2回と増えています。
そこから2種へステップアップする人材を増やそうとする流れとなっているのかどうかは、少し時間がかかってから分かりそうですね。
ミズノワも職業紹介をしている中で、再エネ業界の求人がここ数年変わらず一定数以上はあるという現状を感じています。
いずれにしても、人口減少は必ず起こる社会現象ですから、何とか電気主任技術者の需給ギャップをなくしていきたいですね。
電気主任技術者の人材不足問題について...
業界の状況が気になる!という方は、こちらの記事もあわせてご覧くださいませ。
電気主任技術者の人材不足は…嘘!?
~電験取得してもすぐに採用されない理由~
06|電験2種を活かした転職のメリット
「そもそも転職すべきかどうか?」という悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。
電験2種を活かして転職するメリットをいくつか紹介します。
一つ目は、金銭面で見た場合。
ご紹介したように、電験2種を必要とする求人は電験3種の求人と比べて年収が100万円以上違うことが多く見られます。
二つ目は、電験3種を必要とする求人に応募する際にも電験2種を役立てることができるので、単純に求人数が増えるということ。
選択肢が増えるので、転職活動に有利に働くことは間違いありません。
ちなみに、電験2種を所持していてかつ選任経験がある場合だと、60歳以上(定年以降)になっても企業から求められるケースも多くあります。
電気主任技術者として長く働きたい、手に職を付けて定年後も必要があれば働きたい、など、長い目で見たときも、電験2種を持っていることは非常に大きなメリットとなり得るのです。

また、メリットと見るかは人それぞれですが、対応できる電圧が高いことから、規模の大きい現場で仕事ができるというのも、電験2種転職の特徴と言えるかもしれません。
07|電験2種を活かした転職のデメリット
反対に、電験2種を活かした転職のデメリットもいくつかあります。
やはり、「上位資格である2種を持っているということは実務経験や下積みがあるだろう」と期待されるケースが多いことです。
資格を持っているからといって実務を行えるわけではないですから、この辺りをきちんと企業さんとすり合わせて転職する必要があります。
入社後のミスマッチにならないよう実務が、未経験でも大丈夫な求人か、またその際の年収が現職と比べてどうなのかをしっかりと見極めて頂いただくことが大事です。

未経験可の電験2種求人は給与が400万円台~500万円台が多いため、現職でしっかりと稼がれている方は転職を断念される方もいらっしゃいます...
電気管理技術者を目指す方にとっては、外部委託での必要経験年数のメリットが少なくなったという点が挙げられます。
以前は3種だと5年、2種だと4年の経験年数が必要だったのですが、実務経験の年数が緩和された影響で、保安管理業務講習を受けると一律3年になりますので。
また、電験3種の外部委託求人に応募しようとした場合、企業から「オーバースペックでは?」と思われてしまうこともあるようです!

外部委託の企業側からすると、「電験2種があるのに、うちでいいの...?」と思うことがあるようです。
このようにならないためにも、転職の軸をきちんと持つことや、外部委託への志望動機をきちんと伝えることが大切です!
08|電験1種を目指すべきか?

結論から言うと、転職目的で1種を取得を目指すのはあまり効果的ではないと言えます。
理由は、電験1種を必要とする求人数が非常に少ないからです。
件数を調べたところ、8600件中11件、わずか0.12%です。
電験1種の求人は求められるスキルが非常に高く、上位の管理職や電力会社関係などの経験が条件になっていることが多い傾向にあります。
これらのことから、転職目的で電験1種を目指すのは、あまり効果的ではないと言えるのです。
とはいえ、電験1種を取得することによる知識向上や自己研鑽は一生の財産となります。
より高みを目指したい!知識を身に付けたい!という方は挑戦してみてください!
【2025年】電験2種の転職事情まとめ
未経験の場合、勤務地や給与にこだわらなければ「求人は出てくる可能性がある」と言えます。
電験2種を活かせる業界としては、再エネ業界の求人数も多いのが現在の転職事情です。
今後は経験者となり、発電所の統括電気主任技術者になる道もあります!
また、自己啓発のためにも2種取得を目指される方が多いというのも、一つの現状として知っていただけたらと思います。
転職とつながらなくても、資格を取得することができた過程はご自身の中で何かしらの大きな力になります。
もちろん、電気についての知識量も大幅に増えていることでしょう。
資格取得のために培った力を、現職を含めた選任や外部委託とは違う別の業界で活かせる場面が出てくるということもあり得ます。
転職に限らず少しでも電験2種に興味がある方は、一度挑戦してみるというのも素晴らしい選択かと思います。
なかなか一筋縄ではいかない電験2種の転職事情ですが、これを読んでくださった皆さまがご自身が望む転職・ご活躍ができるよう、僭越ながら応援させていただきます!
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【著者情報】

電気主任技術者メディア編集部
電験や実務など、「電気主任技術者」にまつわる情報に特化したメディアコンテンツ制作集団。
電気主任技術者専門の転職エージェント株式会社ミズノワが運営する「電気通信ピカリ」内の記事を執筆・発信中。
転職エージェントとして、求人案内総掲載数240件以上、求職者様の総ご相談者数1,500名を超える実績を持つミズノワ監修のもと、分かりやすくて面白いメディア運営を進めております。