電気主任技術者の認定取得の方法 ~認定校・実務経験・認定の流れについて詳しく解説!~【電験転職情報②】
- 転職×電験
- 2023.11.25
「電気主任技術者の資格がほしいけれど、電験すごく難しくて…」
と思われる方。
電気主任技術者の資格を取得する方法は、電験に合格するだけではなく、もう一つ、認定取得があります。
ただ、試験の代わりになるものですから、諸々の条件があります。
その条件の中には、外部委託として電気保安法人で働く保安業務従事者や個人で独立する電気管理技術者になるための条件とも繋がる、実務経験も出てきます。
そしてどんな流れで認定取得ができるのか…
この記事では、免状取得方法の一つである「認定取得」について解説していきながら、実務経験について、認定取得する流れについても説明していきます。
★この記事で分かること★
✅認定取得の条件
✅実務経験と実務経歴証明書やその証明について
✅認定取得する流れ
電気主任技術者の認定取得とは何か知りたい方や実務経験について知りたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい!
1|認定取得とは
電気主任技術者は試験合格で取得するほかに、認定で取得するという方法があります。
認定取得という免状取得方法を利用すれば、電験の受験が必要ありません。
▼試験に関して詳しく知りたい方は▼
「電気主任技術者ってどんな資格?仕事内容・年収・取得方法まで完全網羅!」
ただし電験を認定取得するには、「電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令」で掲げられている認定基準を満たさないといけません。
まず2つの基準があげられます。
定められた学歴または資格を有すること
実務経験年数を満たしていること
上記のような定められた学歴または資格と実務経験の基準を満たすことで、電気主任技術者の資格を取得できる可能性がでてきます。
定められた学歴というのは、経済産業省により指定された認定校(電気主任技術者認定校)で必要な科目を修得して卒業している場合です。
認定校をすでに卒業していて、現在、実務経験を積める職場環境であれば免状を取得しやすくなるかもしれません。
試験勉強が苦手な方にとっては一つのチャンスです。
定められた資格というのは上位資格の認定取得の際に関係することで、例えば、3種取得者が2種を、2種取得者が1種を認定で取得することが可能です。
ここからは、認定取得において必要な「学歴」と「実務経験」について、詳しく見ていきましょう。
まずは学歴についてです。
2|認定取得に必要な学歴「認定校」と「単位」
認定取得で必要な学歴とは、経済産業省により指定された認定校で、電気工学に関する学科の科目を修めて卒業しているかどうかになります。
認定校として認められているのは、全国の高等学校、高等専門学校、専門学校、短大、大学、大学院となり、その学校の中でも、指定された学部・学科の単位を取得しなければなりません。
また、取得したい資格が、電気主任技術者3種なのか2種、1種なのかによっても認定校は異なります。
3種や2種を対象として認定校として認められているのは工業高校や専門学校であるのに対し、1種の認定取得を目指す場合には指定の大学での単位取得が必要です。
まずはご自身が対象校の認定校を卒業しているのかを確認ください。
必要単位については以下リンク先に記載がありますが、別途経済産業省さんに単位取得証明書といった書面とともに確認する必要が出てきます!
(引用:経済産業省)
3|認定取得に必要な実務経験
認定取得には、学歴に加えて実務経験を積まなければいけません。
次に、認定取得を目指す際の実務経験について、詳しく紹介していきます。
3-1 必要な実務経験年数
自身が取得した学歴と認定取得したい種別によって、必要な実務経験の年数は変わってきます。
学歴 | 必要な実務経験年数 | ||
3種 | 2種 | 1種 | |
大学・大学院 | 1年 | 3年 | 5年 |
短大・高専・専門学校 | 2年 | 5年 | ー |
高校・専門学校 | 3年 | ー | ー |
(参考)電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令
なお、実務経験のカウントの仕方として、卒業(修了)前にも実務経験があれば、それまでの年数は1/2でカウントすることができます。
「卒業前の実務経験年数×1/2+卒業後の実務経験年数」
が該当の年数を越えれば、認定の一つの条件をクリアすることができます。
また該当する学歴がなくても、電気主任技術者資格を取得していれば上位資格を認定で取得することも可能です。
現在取得資格 | 必要な実務経験年数 | |
2種 | 1種 | |
電気主任技術者2種 | 取得済み | 5年 |
電気主任技術者3種 | 5年 | ー |
ただしこの場合、実務経験年数は、前提となる取得免状が交付されてからのカウントとなりますので、ご注意ください。
(取得前はカウントされません)
3-2 実務経験として認められる実務内容
認定取得で認められる実務の内容については以下のように定められています。
免状の種類 | 実務の内容 |
第一種電気主任技術者免状 | 電圧5万V以上の電気工作物の工事、維持又は運用業務及びこれらの業務を監督指導する業務 |
第二種電気主任技術者免状 | 電圧1万V以上の電気工作物の工事、維持又は運用業務及びこれらの業務を監督指導する業務 |
第三種電気主任技術者免状 | 電圧500V以上の電気工作物の工事、維持又は運用業務及びこれらの業務を監督指導する業務 |
免状の種類によって大まかな業務内容は同じなのですが、取り扱う電気工作物の電圧に違いが出てきます。
ここで出てくる工事、維持、運用は具体的な業務でいうと以下となります。
[1]工事
ア)新設、増設、改造、取り換え等の工事における電気設備、各種電気機械器具、付帯設備の設計(除 基礎工事)
イ)機器・材料の据え付け、組立工事(除 土木工事、製造工場での材料加工・組立・調整)
ウ)配線工事
エ)機器調整及び性能検査
[2]維持
巡視点検、定期点検、修理、試験、測定などの設備の機能を維持するための保守管理業務等。
[3]運用
設備を安定的、経済的に運転するための業務
ア)運転状態の監視
イ)周波数及び電圧・電流の調整
ウ)電力需給の調整
エ)系統の変更
オ)事故の復旧等における運転 、切り換え操作、給電指令、運用(事故の原因究明、報告等)
実務経歴証明書記載要領より
要は電気主任技術者として(もしくは電気主任技術者の下で)工事を行ったり、保守管理のために試験・点検業務を行ったり、運用のための調整業務をしたりすることが該当してきます。
実務経験として認められる業務内容を行っていないと、いくら年数を積んでも免状取得ができません。
実務経験を積むための仕事選びの際は、確実に実務経験として認められる業務であるのかをきちんとチェックすることが大切です。
例えば、電気に携わる仕事だとしても、100V等で受電する一般電気工作物の取扱業務の場合は、実務経験にはならないのです。
認定取得を転職して目指す際には、実務経験を確実に積めるよう、仕事選びに気を付けましょう。
この業務内容が分かりにくいと言われる方もいらっしゃいますが、その場合はきちんと保安規程に基づいている業務を行っているのかを、一つの基準にされると良いかもしれません!
電気主任技術者業務は必ず保安規程に基づいていますし、その業務内容が実務経験に当たりますから。
4|認定取得に必要な実務経歴証明書
実務経験を積んでも、認定取得するためには、実務経歴証明書と呼ばれる、実務経験に当たる業務内容を記載する書類をご自身で作成する必要があります。
加えて勤務先の証明も必須となりますので大変注意が必要です。
4-1 実務経歴証明書の作成について
この書類は、何を書いてよいかわからず、書けたとしても記入漏れや記載ミスによって、なかなか認定できないというケースが多い書類です。
また、提出する地域の窓口によって書き方や提出の際の対応が異なる場合があります。
自身が提出する地域の記入例などを参考にしながら、適切に記載していきましょう。
▼地域ごとの記入例は▼
実務経歴証明書…
どこの情報を元に書いたらいい?
~電気主任技術者2種・3種 電気管理技術者・保安業務従事者を目指す方向け~
4-2 実務経歴証明書の証明について
実務経歴証明書の証明の仕方についても注意しなくてはいけません。
実務経歴証明書記載要領の[基本事項]では以下の4項目が示されています。
1.実務経歴書は、同一勤務先(1社、1団体)について作成し、2以上の勤務先の実務経験を合計しなければ、省令で定める条件を満たさない場合は、それぞれの勤務先の証明書が必要となります。
2.委託管理契約に基づく実務経験の場合(ビルメンテナンス会社等に所属している者)は、自社及び契約会社(設置者)の両者の証明を受けてください。但し、実務経歴期間内全ての契約書、覚書、仕様書等を添付出来る場合は、自社のみの証明で結構です。
3.工事業者については、工事工程表と、契約書の写し又は相手方の証明書を添付してください。
4.添付書類(組織図、工事工程表等)を含めて証明者の割印を必要とします。ただし、契約書の写し、相手方の証明書等については割印は必要としません。
実務経歴証明書記載要領より
まず、前提として実務経歴証明書の証明には勤務先の代表印が必要になります。
1では、1つの勤務先で実務経験年数が足りない場合、今までの勤務先での年数も証明ができれば、年数を加算することができるということを書いています。
2は、ビルメンさんのように委託管理で電気主任技術者業務を行っている場合は、勤務先の証明と設置者さんの証明も必要ということを提示しています。
設置者さんからの代表印が難しい場合も多いので、その際は委託管理契約に基づく(例えば電気主任技術者業務を委託している旨を記載している)契約書・覚書・仕様書などの写しでも大丈夫となっています(委託金などの金額面は黒塗りでも可能)。
そして3は工事の場合に必要な添付書類について、4では割り印についての記載となります。
ですので、実務経験を積む際には、
・勤務先の代表印が頂けるのか
・委託管理や工事の場合は設置者の代表印、もしくは契約書などの写しが頂けるのか
を事前に確認しないといけません。
(工事の場合は工事工程表など添付資料も必要)
5|認定取得の流れ
必要な学歴があり実務経験を積み、勤務先に証明ができることも確認できたら、ようやく認定取得を受けるための手続きを行えます。
ここからは認定取得の流れを簡単にお伝えいたします。
5-1 認定に必要な書類を集める
免状交付を受けるためには、いくつもの書類を全国各所(実はどこの地域でも構いません)の経済産業省の産業保安監督部電力安全課に提出しなければなりません。
免状取得のために必要な書類は以下です。
必要な書類 | 対象者 |
主任技術者免状交付申請書 | すべての申請者 |
卒業証明書 | 認定校で所定の科目を修めて卒業した者 旧規則による認定校卒業者 |
単位取得証明書又はこれに代わるもの | 認定校で所定の科目を修めて卒業した者 |
電気主任技術者免状又は合格書の写し | 免状交付を受けている者(※) |
実務経歴証明書 | すべての申請者 |
戸籍抄本又は住民票 | すべての申請者 |
免状送付用宛先用紙 | すべての申請者 |
(※)
申請条件に該当する電気主任技術者免状を取得されている場合は卒業証明書と単位取得証明書は必要ありません。
ただ、先に全てを提出するわけではなく、まず初めは単位取得証明書(必要な方のみ)と実務経歴証明書を産業保安監督部電力安全課の担当の方に見てもらう必要があります。
単位取得証明書は学歴として必要な単位を取得しているかを確認いただくので、必ず厳封されたものをご用意ください。(正式な提出時も見て頂いた取得証明書で可能となります)
そして実務経歴証明書については担当の方との面談が必要になります。
5-2 面談を受ける
面談は、実務経歴証明書の記載内容を確認するために行われます。
質問内容は主に、実務経歴証明書に記載した内容や、さらに詳しい仕事内容なども多く聞かれるようです。
実務経験の具体的な業務内容を細かに聞かれる場合が多いため、ある程度の電気についての知識が必要です。
とくに、電験2種の認定取得の面談では、ご自身の経験と深い電気知識が求められます。
認定取得を目指す場合は、試験を受けなくても免状取得ができる代わりに、面談で聞かれたことに対して、ご自身の経験・知識に基づいてしっかりと返答できる力が必要です。
また実務経歴証明書を元に質問されることも多いので、実務経歴証明書をしっかり理解して作成することがとても大事になります。
面談の回数は人によってまちまちです!
1回で終わり、あとはメールのやり取りで実務経歴証明書の修正をして終わる場合もあれば、何度行っても全く認定することができない場合もあります。
その場合は、実務経歴証明書の根本的な書き方が違っている場合がありますので、本来は事前にしっかりと作りこむ必要があります。
5-3 面談終了~認定取得
面談がスムーズに進み、実務経歴証明書が完成できれば、産業保安監督部に書類一式を郵送して、そこから2カ月ほどで指定した住所に免状が届きます。
これで晴れて認定取得となります。
大変大変、お疲れ様でした!
6|自分に合った方法で免状取得を!
認定取得は、これから進学を考えている方やご自身の学歴を活かしたい方にとって、可能性のある資格取得方法です。
社会人でも、学校に通う時間やお金がある方は、これから認定取得を目指してもいいかもです。
ただ実務経験を積める環境で働くことができるのか、勤務先に証明して頂けるのかという確認が必要となってきます。
実務経歴証明書や面談のことも考えると、電気主任技術者の免状取得方法は、どちらかが簡単だというわけではないと感じます。
試験での取得と認定取得はどちらも多くの知識、経験、時間をかけなければならない立派な資格です。
これから免状取得を目指す方は、ぜひ自分に合った取得方法でチャレンジしてみてください。
ミズノワでは、これから電気主任技術者を目指す人、電気主任技術者として働く人皆さんを全力で応援しています!
6-1 ミズノワが行う認定取得&転職サポート
上記のように「面談が通るかどうか不安で…」という方は、ぜひミズノワの認定取得の申請サポートにご連絡下さい。
電気主任技術者2種、3種の認定取得に対して、「カフェジカ行政書士事務所」と連動して実務経歴証明書の添削から面談対策をまるっとサポートさせて頂きます。
「実務経歴証明書が上手く作成できるか心配だ…」
「面談で上手くこたえられる自信がない…」
そんなお悩みを抱えている方は、ぜひミズノワの認定取得サポートをチェックしてみてくださいね。
▼認定取得サポートの詳細は▼
電気主任技術者 認定取得サポート
また認定は勤務先のご協力あってこそなので、ぜひ自社でその資格を活用頂けたらと思います。
ただもし、退職後に申請されたり、自社での仕事をやり切った遠い先に転職を考えられたりするのであれば、その時にはミズノワにご連絡ください。
選任として働くか、外部委託を選ぶか、どのような業界が良いか、皆さんのご経験とご希望を元に方向性を確認させて頂いて、適切な企業さんをお繋ぎできたらと思います。
ミズノワでは認定取得サポートに加えて、転職相談や求人案内掲載も行っていますので、ご興味のある方はぜひ、ミズノワの求人案内をチェックしてみてください!
▼転職相談をしてみたい方は▼
電験を活用した転職のご相談
▼求人案内をチェックしたい方は▼
電験三種求人・電験二種求人
【著者情報】
電気主任技術者メディア編集部
電験や実務など、電気主任技術者にまつわる情報に特化したメディアコンテンツ制作集団。
電気主任技術者専門の転職エージェント株式会社ミズノワが運営する「電気通信ピカリ」内の記事を執筆・発信中。
転職エージェントとして、求人案内総掲載数240件以上、求職者様の総ご相談者数1,500名を超える実績を持つスタッフ監修のもと、分かりやすくて面白いメディア運営を進めております。