電気主任技術者が知るべき工事計画書や使用前自主検査に安全管理審査って!?
- 転職×電験
- 2024.12.27
もし自分が特別高圧の電気主任技術者だったとして、
受変電設備の変更の工事を行うことになった場合…
もしくは
「新しく特別高圧の施設を作るから、
電気主任技術者の選任を工事の計画からお願いしたい」
と言われた場合…
知っていますでしょうか?
工事計画書を申請しなくていけないことを…
使用前自主検査をする必要もあって…
使用前安全管理審査もしなくてはいけないという…
「これは一体?」ってなりますよね・・・
しかも経済産業省さんから、
安全管理審査について
『令和4年12月14日公布「電気事業法施行規則等の一部を改正する省令」第73条の6の2の規定に基づいて、令和5年3月20日から登録安全管理審査機関が全設備の安全管理審査を実施することになりました。』
というような発表もありました。
ここのところ、全てが全て電気主任技術者が行うわけではないのですが、どういうことかを知っておくことがとても大事であり、安心ですね。
今回の記事では工事計画書・使用前自主検査、安全管理審査と法改正について、解説していこうと思います!
1.電気事業法で規定された設置者の義務
まずは大前提として、今回の話は受電電圧1万ボルト以上の需要設備の工事を実施する場合です。
受電電圧1万ボルト以上(特別高圧と呼ばれます)の需要設備のある施設ですから、例えば超高層ビル、大型ショッピングモール、大規模工場、大規模発電所、総合病院といった限定された施設ですね。
※ 高圧の現場などは、今回の義務には当てはまりませんが、提出を求められないだけで、工事の計画などをやらなくて良いという訳ではありません。
その1万ボルト受電の特別高圧の施設において。
設置者には3つの義務が電気事業法上規定されています。
それは…
①工事計画届出書を国に提出
※ この届け出を 出して30日経過した後でないと工事の スタートができないのです
②使用前自主検査を行う
※ 工事計画を届け出した工事に関しては、その名の通り使用前に自主検査を行い、その結果を記録保存する必要があります
③安全管理審査を登録審査機関へ申請する
※ 自主検査した記録などを元に審査してもらいます
それでは一つずつ見ていきましょう!
2.工事計画届出書を出す必要のある工事について
電気事業法において受電電圧1万ボルト以上の需要設備の設置または変更をする設置者の義務として工事計画届出書を産業保安監督部に提出する必要があります。
詳しくは、事前届出を要する設備として電気事業法施行規則別表第2で定められています。
例えば、
・特別高圧受電(受電電圧が10,000V以上)の設備を新設・変更する場合
・特別高圧受電設備の受電用遮断器を変更する場合
となります。
※ 高圧受電設備の工事の場合は届出が不要となります
需要設備以外にも
発電設備
・水力設備
・火力設備
・燃料電池設備
・太陽電池設備
・風力設備
蓄電所
変電所
総電線路
といった設備の設置、変更する場合に工事計画書を届出する場合があります。
また高圧でも特高でも電気事業法施行規則別表第4に該当する設備、いわゆる大気汚染に関わるばい煙発生施設に該当する非常用予備発電設備や、騒音・振動といった規制にかかる設備がある場合の工事も届け出をする必要が出てきます。
そして何より重要なのは、工事計画届出が受理された日 から30日を経過した後でなければ工事を 開始することができないということです。
工事計画届出書は大切な届け出となりますので、どういう場合が必要かを押さえていると良いですね。。
参考)経済産業省 中部近畿産業保安監督部 工事計画に関する手続き
3.使用前自主検査の実施
続いては、使用前自主検査についてです。
工事計画を国に届け出をした設置者は、使用前自主検査を実施するという義務もついてきます。
使用前自主検査の内容は、使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈で示されています。
(使用前自主検査の内容)
1 外観検査
検査対象となる電気工作物の設置状況について、工事の計画に従って工事が行われていることや「電気設備に関する技術基準を定める省令」(電技)に適合していることを目視で確認します。
2 接地抵抗測定
接地方法に応じて対応した測定方法により接地抵抗値を測定します。
つまり、漏電などのトラブルが起きたときに安全に電気が流れるようになっているかを確認します。
3 絶縁抵抗測定
電気が本来通ってはいけない部分に漏れないように、絶縁が適切にされているか測定によって確認します。
4 絶縁耐力試験
設備が一定の高電圧に耐えられるかを確認し、安全性を確認します。
5 保護装置試験
万が一のショートなどに備え、リレーなどの保護装置が正しく機能するかをテストします。
6 遮断器試験
遮断器が正しく作動するか、必要な場合には電気を遮断する機能が正常かどうかを確認します。
7 負荷試験
負荷を保持した状態で、変圧器の各部の温度が飽和状態になるまで連続運転し、変圧器の異常な温度上昇、異常振動、異音等の有無を計器や所内巡視等の方法により確認します。
8 騒音測定
騒音規制法に基づいて騒音の測定を行います。
9 振動測定
振動規制法に基づいて振動の測定を行います。
※ 8番と9 番は需要設備の場合には基本的には ありません
これらの検査を一通り行い、記録を作成・保管することが必須です。
この記録が次の使用前安全管理審査時に必要となり、設備の安全性を証明する材料になります。
またよく高圧の現場において工事完成時に、点検・試験などによって行う検査を、「竣工検査」と呼びますが、基本的に使用前自主検査の検査項目を基本として検査が行われていますので、内容は同じと考えて問題ありません。
次の使用前安全管理審査に申請する場合、そのための竣工検査が「使用前自主検査」と呼ばれると覚えておくと分かりやすいですね。
4.最後の義務 使用前の安全管理審査
使用前自主検査が終わって終了ではありません。
検査後1か月以内に、安全管理審査を受ける必要があります。
安全管理審査とは、設置者の方が実施する法定検査、使用前自主検査を適切に評価して、その結果等について通知することによって自主保安の改善に役立てていただくものです。
審査の方法は現場に行って検査を実際に見るというわけではなく、記録の確認。
(以前は国が実際に検査に 立ち合いをしていた時もあるそうです)
次に審査項目を使用前・定期安全管理審査実施要領を見ていきましょう。
法定審査6項目の内容
1 法定自主検査の実施に係る組織
自主検査を行うための体制が整っているか、役割や責任分担が明確になっているかを確認
電気工作物の種類に応じた電気主任技術者資格を持つ技術者が含まれているかも確認 など
2 検査の方法
自主検査の手順や判定基準が文書化され、事前に明確に示されているかも確認
使用する測定器が記録され、検査時の合否基準が明確であることも必要
3 工程管理
検査工程が抜けなく進められているかを確認
不適合が見つかった場合には対応が記録され、再検査の実施も求められます
4 検査において協力事業者がある場合には、当該事業者の管理に関する事項
検査において協力した事業者が法定検査を適切な基準で行っているかを明文化
5 検査記録の管理に関する事項
検査内容や結果を記録し5年間の保管が必要
検査の体制や工程管理、協力事業者記録、教育訓練といった検査方法以外は、通知があるまでの保持が求められます
6 検査に係る教育訓練に関する事項
検査を担当する要因が、必要な教育・訓練を受けているかを確認
訓練記録も審査の対象となり保存することが必要
このような審査項目を元に審査が行われていきます。
2022年までは国がその審査を行っていたのですが、2023年3月からその審査機関が変わりました。
次に紹介する民間機関に申請を行う流れとなったのです。
5. 2023年の法改正 民間審査機関導入で何が変わった?
2023年3月20日より、使用前安全管理審査が国から民間の審査機関に移管され、審査手順や申請先などが変わりました。
審査機関が国から民間に変わるというのは他業界でも多く見られることですが、使用前安全管理審査でも同じ動きになっています。
どんな違いがあるかをまとめてみましょう。
申請先の変更
今までは国に申請 → 現在は民間審査機関に申請
※ 審査機関によって申請書の様式が異なるため、事前にフォーマットを確認する必要あり
手数料の違い
民間審査機関の審査手数料は、国と異なり消費税や、審査にかかる交通費が含まれることが一般的
※ 審査費用は機関ごとに異なり、審査の規模や内容によって変動あり
審査結果の通知方法
審査結果の取りまとめは民間機関が行い、その結果を国に報告し、最終的な「評定結果」は国から設置者に直接通知あり
今までだと直接、経済産業省さんとのやり取りになっていましたが、間に審査期間が入ることで相談しやすいかもしれないですね。
カフェジカ水島が、実際に安全管理審査機関となっているSOMPOリスクマネジメントさん(需要設備は調整中)からも、詳しく解説をして頂いている動画もありますので、ぜひご覧ください。
第1話【使用前安全管理審査の事】
登録審査機関?電気事業法?制度の変更とは?
SOMPOリスクマネジメント株式会社さんに優しく解説してもらってみた!!
★カフェジカ勉強会★電気主任技術者が知るべきシリーズ
また実際に使用前安全管理審査を受ける必要がある場合、下記リンク先をご確認ください。
登録安全管理審査機関連絡先一覧
今回の知識を活かして、特別高圧の現場で工事が行われる際の参考にして頂けたらと思います。
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そして今回の記事を見て…
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実務動画★超入門編 関係法令
「過電気種にに技術者が知るべき法令関係」
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本数:3本 トータル:1時間6分
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01_電気関係法令(ホワイトボードを用いて) 29分38秒 1.79GB
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【著者情報】
電気主任技術者メディア編集部
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電気主任技術者専門の転職エージェント株式会社ミズノワが運営する「電気通信ピカリ」内の記事を執筆・発信中。
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