年次点検「地絡方向継電器(DGR)試験」(23/12/16)電気主任技術者イベントアーカイブ動画レポート
- イベントレポート
- 2024.11.15
皆さま、こんにちは!
電気技主任技術者 実務レポーター ひなです。
年次点検操作編は第一弾の「地絡継電器(HGR)試験」、第二弾の「過電流継電器(OCR)試験」と続いてきました。
今回のレポートは、リレー試験シリーズ第三弾!年次点検「地絡方向継電器(DGR)試験」です!
【地絡】を取り扱う事は、第一弾の「地絡継電器(HGR)試験」と同じですが、今回は方向が深くかかわります。
地絡は電気が地面に流れ出てしまうとても危険なもの。
第一弾で学んだ地絡の基礎を礎に、今回は地絡の方向を考えていきます。
1.DGRとは!?
DGRとは地絡方向継電器、Directional Ground Relaysのこと。
GRとは地絡継電器、Ground Relayのことで、高圧地絡継電器はHGRと呼びます。
DGRとGR、どちらも地絡事故を検出しますが、方向(配電線側か自分の設備側か)が検出出来るかどうかなんです。
地絡が起きたのが自分の設備側であれば、当然遮断しないといけません。
ですが、配電線側など自分の設備で何の異常もないのに、地絡を検出して遮断されてしまっては大変です。
方向検出できるDGRの方が優秀だと思いません?
DGRも無敵じゃないんです!
詳しく教えていただきましょう!!
2.年次点検DGRイベントの中身は?
【高圧配電線を制する者はDGRを制す!!!!】と題しまして講義が始まります。
1.配電線の全体図、対地静電容量の存在
2.配電用変圧器の相電圧と、配電線線間電圧と対地電圧
3.地絡時の地絡電流と対地電圧の変化と零相電圧
と、ありますね。
地絡方向継電器(DGR)を知るためには、零相電圧が大事なポイントであり、零相電圧は幽霊みたいな電圧だとあきら先生。
幽霊みたいな電圧?気になります!
講義内容の詳細、テキストの内容は以下の通りです。
・高圧配電用変電所と配電線
・対地静電容量
・高圧配電線の対地電圧、地絡電流
・電力会社配電用変電所の地絡保護
・地絡事故時の対地電圧の変化
・対地電圧と零相電圧
・零相電圧と地絡電流の関係
・高圧地絡保護装置とは
・地絡方向継電器の位相動作範囲と地絡現象
・地絡方向継電器の結線、整定、規格、試験、問題点
とにかく配電線を含めて全体のイメージを持つことが大切です。
テキストで正常時の電気の流れをしっかり学びます。
対地静電容量って、電験試験問題では図で描かれています。
実際の電線画像でイメージすると、わかりやすいですね。
配電線は三つの線で電気を運んでいます。
三つの線はそれぞれの電圧を持ち、電流が流れています。
線間電圧と相電圧など、混乱しがちな電圧の違いもあきら先生は教えてくれます。
三本のうちの一本が、完全にブチッと切れて地面と繋がってしまったとします。
電気が地面に流れる地絡事故の発生です。
今まで地面と離れていたことで保っていた電圧・・・切れた一本は、地絡により0Vになってしまいます!
残りの二本の電圧はどうなってしまうのでしょうか。
電流はどうなるのでしょう。
今までの正常な状態から「どこの」「何が」「どの様に」変わってしまうのか?
正常な状態から地絡によって変わってしまうことで、現れるのが零相電圧なのです。
この零相電圧への理解が、すっっっごく大事!!
さすが幽霊みたいな電圧、零相電圧。
正しく電気の基礎を理解していないとわからない存在でした。
でも、あきら先生の説明のおかげで当日ZOOM参加者さんから
零相電圧が見えた!
とコメントいただきましたー!!
実際はもっと細かく講義があるのですが、零相電圧がわかったところで・・・気になりますね。
第一弾の地絡継電器(HGR)とは何が違うのか。
第一弾の地絡継電器(HGR)では、地絡により流れる電流の変化を主に学びました。
流れる電流の変化に、零相電圧を組み合わせたものが、今回の地絡方向継電器(DGR)となるのです。
方向を検出出来るDGRすごい!優秀!
DGRも無敵じゃないんです!
・・・そうでした。
地絡方向継電器(DGR)が無敵ではない、値段だけの問題ではない理由も知る事が出来ます。
設備や周辺状況によっては地絡継電器(HGR)の方が良い場合もあるんですって。
零相電圧、方向を知るとは何か、無敵ではない理由・・・地絡について目一杯学びましょう!!
3.地絡した時の電圧の変化を見る!!
機器を使っての実験は、地絡実験!!
地絡方向継電器(DGR)の試験方法も講義には含まれていますが、今回の実験は零相電圧を見る実験です!
あきら先生が、模擬配電用変電所、模擬電力会社の遮断器などをカフェジカの機器達で作っています。
毎度作りこみが細かい・・・
画質悪くなってしまいましたが、画像の細かいところを見て欲しい!
水抵抗器を使い、地絡状態を作ります。
奥の二つの電圧計、見えますか?
左側が地絡電圧計、右側が健全相電圧計です。
地絡が起きた時のそれぞれの電圧計の針の動きを見ていきます。
遮断器が動作した後の状況は見ることあると思うんですよ。
でも模擬地絡をさせて電圧計の針の動きをまじまじと見る経験が出来るのは、カフェジカならではを感じますね。
地絡状況を作っていくと健全相電圧計の針が上がり、地絡電圧計の針は下がる。
私にも針の動きが見えましたよ!!!!
零相電圧の正体見たり!
零相電圧を拾い、零相電圧の方向を見極めて、構内事故か構外事故かを判断させるのが、DGR!
あきら先生のまとめの一言で講義は終了です。
4.年次点検DGRイベントを終えて
実際に参加した方のお声を紹介します。
零相電圧の説明はわかりやすかったです。
長年の疑問が解決出来ました。
配電系統と対地静電容量、対地電圧について丁寧に教えてくれたので、分かりやすかったし理解できました。
図を使用した位相差の説明はわかりやすかった
ZPD、ZCTの極性の関係は目から鱗でした
地絡はなかなか理解が難しいですが、難解な数式は極力用いず、図解スライド 実験で、とても分かりやすくご説明頂き、受講者の理解を助けたと思います。
受講者さんの『理解できた!』のお声ほど嬉しいものはありません。
ご参加ありがとうございました。
実はこのイベント、私は少し前に見させてもらっていて地絡方向継電器(DGR)は何となく理解していたつもりだったのです。
でも今回のレポートの仕上げで再視聴すると、全然理解が足りていなかったんだなと痛感しました。
地絡は本当に難しいですよね。
レポート忘れて見入ってしまいましたもの(汗)
そんな地絡方向継電器(DGR)のイベントアーカイブ、いよいよジカストにて販売開始 です。
知識は何度も繰り返し取り入れることで定着するといいます。
資料とテロップ付き動画で、繰り返し地絡をお勉強しませんか。
実務動画★操作理論編03
年次点検「地絡方向継電器(DGR)試験」
カフェジカイベントアーカイブ
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年次点検「過電流継電器(OCR)試験」
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【筆者情報】
ひな X(旧Twitter)
電気保安業務していない電気素人
・R3年下期に電工2種、R5年に電験3種試験合格
「電気初心者+電験の視点から情報発信します!」