「高圧引き込みケーブル」
それは、人体 で言うところの
『のど仏から胃袋までの重要な食道器官』。
つまり、エネルギーが各必要機関まで届けられる大事な大事な生命線。
指先までの神経や毛細血管を幹線や、弱電と仮定するなら、
高圧引きみケーブルはまさに、お口の中から各エネルギー変換機器へと繋がる、重要な
『入り口&出口の設備』
と例えられるのではないでしょうか。
ではこの高圧引き込みケーブルは、いったい
・どんな 役割 をして
・どのような 特徴 があり
・どういった メンテナンス を
設置者・電気主任技術者は維持管理すればよいのでしょうか。
ここ キュービクル学園 では、カフェジカの「〇〇を深堀するDay!」というZOOMイベントに参加してくださった皆さんの声を中心に制作していく受電設備学習サイトです。
難しく書かず素人でも受電設備をイメージ出来るよう、かつ玄人でもクスっと見れるよう柔らかい印象を大事にしています。
「ようこそキュービクル学園へ」
0.まずは高圧ケーブルを擬人化してみた
現在ネーミングやキャラ設定を募集中ですが、ケブル子(仮名)ちゃんと一緒に詳しく高圧引き込みケーブルを知っていきましょう!
1.高圧引き込みケーブルとは!?
高圧引き込みケーブルは、キュービクル内に電気を引き込むためのものです。
電気は三相交流で送電されているため、三本のケーブルで受電設備へ迎え入れます。
代表的な高圧引き込みケーブルはCVケーブル。
CVケーブルとは【架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル】のこと。
導体を絶縁体である架橋ポリエチレンで被覆し、更に外周をビニルシースで被覆したケーブルです。
写真で見ると…
図にしてみると…
導体を中心に絶縁の層で覆われいるのが分かります。
今までの説明を聞いてイベント参加者は…
【参加者の声】
ケーブルと電線の違いが最初よく分からなかったです。
僕はわかりました!
一言で言うとケーブルは、電線よりも絶縁抵抗を高めたものですよね。
そうですよね!
それと『電線とケーブルの違い』については、株式会社FUELのサイト※で詳しく解説されているようですね!
※電線とケーブルの違いについて、基礎知識から種類と記号、材質、形状、太さと許容電流、絶縁体の種類と耐熱温度電材を詳しく記載しています!
色んな声が上がりますね!
さて、ここからは高圧引き込みケーブルの特徴を見ていきましょう!
2.高圧引き込みケーブルの大きな特徴は安全性!?
まずは電線とは違う、高圧引き込みケーブルの特徴をまずまとめてみると…
【特徴1】
電気が通う線(導体)を絶縁体(電気を通さないもの)で覆っている
だから、絶縁抵抗(電気通さない値)が高い
電気を閉じ込める防御力が高い
つまり安全
それを聞いた参加者から、、、
【参加者の声】
絶縁物を保護する層がついているものがケーブルって感じもありますね。
確かに!
それに「電線」の特徴は、電気の絶縁が守られていないので、触ったら死にますよね。
電線は触れるところにあると危ないので、工事をする過程では「碍子(がいし※)」を置いて、電線を支えないといけない。
電線は工事がめっちゃ大変なんですよね。
※碍子(がいし)・・・電線とその支持物とのあいだを絶縁するために用いる器具
がいし-Wikipedia引用
そして次の特徴に移ります!
【特徴2】
防御力が高いから、工事がしやすい
配管(ケーブルを通す管)を敷設することで、ケーブルを配管に通して工事が出来る
【参加者の声】
ケーブルは電線の何倍もコスト(価格)が高い。
高圧引き込みという点では『架空引き込み(上空)』と『地中引き込み(埋設)』がありますね。
配管工事によって、どこへでも配線工事できるようになった。
まさに発明品と言えますね。
基本的に電線は空気絶縁、ケーブルは絶縁物(架橋ポリエチレン)によっての絶縁って感じですね。
また、高圧引き込みケーブルには次の特徴も言えるようです!
【特徴3】
保護をしている部分があるが故に、電線と比べると電気を流せる量は小さくなる
保護している絶縁物が劣化してくればケーブル事故に繋がる
【参加者の声】
ケーブルの方が電線より熱がこもりやすく流せる電流を小さくしなければいけない、これも大きな特徴ですよね。
ケーブルの寿命は絶縁物に依存する。
電線自体に寿命は無いですよね。
ケーブルは、碍子などの支持物の代わりに絶縁物を使ってるから、シースが劣化すれば事故になる。
それが寿命になりますよね。
最近のケーブルは水トリ―(※)対策もされていますが、それでも水に浸かると寿命が縮みますよね。
ケーブルの歴史や電食対策に関することは日本電気技術者協会(JEEA)のHPにも記載されていました。
※水トリー・・・CVケーブルの絶縁層内に侵入した微量の水分や異物が、経時変化により絶縁体の中を浸透し、絶縁劣化を経て絶縁破壊する現象
水トリー-Wikipedia引用
さて、次が最後の特徴になります!
【特徴4】
何層にも覆われたケーブルの金属遮蔽層を接地(シースアース/シールドアース)することで、安全性向上、劣化防止に役立っている
※接地工事の目的・・・漏電による感電の防止、火災の防止
接地-Wikipedia引用
【参加者の声】
シースアース(シールドアース)があることもケーブルの特徴ですよね。
このシースアースって、手を斬りやすいんですよね。
シースアースって、何のためにあるんですか?
電気の逃げ道っぽいイメージはあるのですが。
色んな役割がありますよ。
・電位差をつくって感電防止になる
・相間の短絡も防ぐ
・絶縁物にかかる電界の力を一定にして耐電圧特性を向上させる
電気の逃げ道というのも、地絡時の電流の帰り道になるっていうイメージかな。
ちなみに、YouTube「カフェジカちゃんねる」でシールドアース実験やっていますよ!
では特徴が色々と見えてきたところで、種類に移っていきましょう!
3.高圧引き込みケーブルの種類の代表的な例
高圧引き込みケーブルにも種類があります。
代表格はCVT(トリプレックスケーブル)!
CVTとはCVケーブルが三本より合わさったものですね。
【種類1】
CVケーブルEEタイプ(押出型・Extrude)
導体回りの、内部半導電層、絶縁体、外部半導電層の 3 層を同時押出加工したもの
水トリー耐性が高い
【種類2】
CVケーブルET(テープ型・Tape)タイプ
内部半導体、絶縁体は同時押出加工、外部半導体部分がテープ状に重ね巻になっている
テープ状の為、ケーブル処理がしやすい利点はあるが、EEタイプと比べて水トリー耐性が低い
参加者からはこんなアドバイスも!
埋設は絶対EEにしたほうがいいですよ。
間違って架空引き込みでもEE注文する人が居てますが。
【種類3】
CVケーブルEM(エコケーブル)
CVケーブルのシースはビニールだがEMは外装がポリエチレン
燃焼時に有害ガス(ハロゲン系ガス、ダイオキシン等)、腐食性ガスを出さない、煙が少ない特徴がある
外観ではわからないが、シースの印字で確認出来る
本来、ポリエチレンは紫外線に弱いが、外でも使えるように加工されている
【種類4】
CVケーブルFP(耐火ケーブル)
特定建築物(不特定多数の人が出入りする建物など)、火災に関しての規制があるところで使用される
耐火のためにシース部分が太くなっている
30分間で840℃まで加熱された後でも絶縁抵抗値を維持される性能を持つ
代表的なケーブルの種類は以上です!
ここからはケーブル事故の原因を見ていきます。
皆さん、気になる部分かと思いますから、しっかりご覧ください!
4.高圧引き込みケーブル事故の原因は傷と劣化!?
「高圧引き込みケーブル」では、どんな事故の原因があるのでしょう?
【外的要因】
・ケーブルの周辺で行う作業により、ケーブルを直接傷つけてしまう
・環境による絶縁破壊(端末部に発生しやすい)
・工事の際の曲げ半径が小さい影響により湾曲部からの劣化
・紫外線による劣化
・必要なテープ巻が不十分だと劣化が早まる
・ケーブルに余裕を持たせていない設計であったため、地震後ケーブルに無理な力がかかる状態になっていた
参加者からの声です!
ケーブルを施工する際の端末部分での事故が多く、この端末処理は専門の技術者による施工が必要。(高圧ケーブル工事技能認定等が必要)
【内的要因】
・水トリー-Wikipedia
・地中ケーブルは常に水に晒されており、ケーブル内に湿気が伝わりやすく、高電圧+水の影響で絶縁物劣化が進みやすい
・CVケーブルETタイプは耐用年数を満たさずに水トリー現象が発生しており、中部近畿産業監督部では埋設ケーブルへはEEタイプを推奨されている
参照リンク 経済産業省中部近畿産業保安監督部 近畿支部
更新推奨時期に満たない高圧ケーブルにおける水トリー現象に係る注意喚起
※ET→EEへ変更する場合、施工金額は大きく変わらない
・シュリンクバック現象-住電機器システム(株) 産業機器営業部
ここで質問が出ました!
最近、知り合いの現場が2006年製造の埋設ケーブルが抜けた(地絡した)って言ってました。
水トリーの事故情報、ここ最近めっちゃ多くないですか?
そうですよね…
事故の様子を再現するために、YouTube「カフェジカちゃんねる」でケーブルの事故実験してみました!
カフェジカでは色んな実験をしていますから、皆さん参考にしてみて下さいね!
ではお次に点検測定方法を見ていきましょう!
5.高圧引き込みケーブルの点検測定で気を付けるポイント
事故を未然に防ぐための目視点検はどのように行うのでしょう?
【目視点検】
・傷やゆるみなど施工時の状態との変化はないか
・周辺機器、標識、樹木などに接触していないか
・機器に異常発熱が無いか
参加者の皆さんはどういうところに気を付けて点検をすると思いますか?
テープ巻の箇所に劣化が無いか。
標識物、樹木などとの離隔。
ケーブル本体に傷や腐食が無いか。
接続部などの加熱は放射温度計(※)で見る、端末部にノイズが出てないかをリークホン(※)などで見る。
※放射温度計・・・非接触で対象物の温度を計測する機器
※リークホン・・・非接触で高圧機器の絶縁不良個所の探査が活線(電流が流れている状態)で使用可能な機器
シースアースが正しく取られているか、異常個所無いか。
支持物の状態も見ないとですね。
ありがとうございます!
目視点検の後は停電を伴う測定方法を紹介していきます。
【絶縁抵抗測定】
ケーブルの劣化状態を確認する測定のこと
E方式(E端子接地方式)→ケーブルのみではなく、キュービクル内の電気回路全ての絶縁抵抗を測定する
G端子接地方式→ケーブルのみを測定する
参加者さんからのコメントは…
新設、更新時には耐圧試験をしますね。
絶縁がいかに、維持されているかという点が重要なポイントですよね。
E法でしか測定していない技術者もいるかも。
YouTube「カフェジカちゃんねる」で、E方式やG端子接地方式での高圧絶縁抵抗測定の動画があります!
⇩絶縁抵抗測定(G端子接地方式)
実際の測定方法は動画を見ると分かりやすいので、ぜひご確認ください!
それでは最後に、ケーブル更新工事の注意事項です!
6.高圧引き込みケーブル更新工事の注意事項
ケーブルの劣化等により、更新(交換)工事を行う事があります。
主な注意点を挙げてみましょう!
【高圧引き込みケーブル更新工事の主な注意点】
・位置の把握
高圧引き込みケーブルが施設内のどこを通っているのか、プルボックス(配管途中の中継点)の位置を確認しておく
・ケーブルの状態把握
配管から抜く事が可能であるか
廃棄するケーブルが配管から抜けそうになければ、引き込むための配管を別途手配する必要がある
【補足】
ケーブルや電線は配管の中で接続してはならないのです。
高圧引き込みケーブルは自重があるため、配線途中で中継点(プルボックス)を設け、プルボックスの中で、接続・分岐しています。
プルボックスがあれば、更新したい高圧引き込みケーブルを引き抜き、新たな高圧引き込みケーブルを通すことができます。
以上が濃密な高圧引き込みケーブルの特徴・種類・事故原因・点検測定方法・ケーブル更新工事の注意事項のまとめとなります!
皆さんの参考になれば幸いです!
7.もっと高圧引き込みケーブルを詳しく知りたい方はジカストへ!
ちなみに、高圧引き込みケーブルを題材にしたカフェジカイベントのアーカイブ版も、昔の映像だけれど未だに根強く今もよくお買い求めいただいております!
★動画販売★
「初心者向け!高圧引き込みケーブル講座」
電気主任技術者ZOOMイベント講習★アーカイブ動画販売★
またその他の機器紹介はキュービクル学園のトップページにてご確認ください!
高圧実務機器なら『キュービクル学園』
<最後に>
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