第2話 異世界転生したけど電験のおかげでなんとかなった件。

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第2話
 
 電気主任技術者のコンチクショー! の巻

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「!!」


目が覚めても


知らない天井


まだ馴染みの無い、何度目かの朝。



毎日のように、




「あの日」



のことを思い出してしまう。






 あの日・・・





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「えええぇ!!!!電験持ってないんですか!!」




入社初日



俺はルンルン気分で初出社をしたのだが、


今、俺の目の前では茶髪の社長コンチクショーが、

俺の両肩を掴みながら前後に強く揺さぶっている。



これはどう見ても誰が見ても、


『入社初日にあってはならない光景ベスト1位』
 に輝くだろう。



 面接のあと
 詳しくネットで知らべてみたのだが
 どうやらデンケンというのは合格率が10%を切る難関国家資格らしい


 何を隠そう、俺は算数が大嫌いで
 分数の計算でぐっすり眠れる魔法にかけられている。
 

 受かるはずが無い・・・
 そう感じた俺は、
 
 「使えるやつキャラ」
 を全面に出して乗り切ればいいか、、

 と考えていたのだが

 目下、
 俺の目の前には超至近距離で肩を強く揺さぶる鬼の顏。



「じ、、自分、、、
 数字で眠ってしまう魔法が掛けられてまして・・・
 ちょっと、取るのも厳しいかなと・・・」



「魔法?本気で言っています?」



「いや、これほんと、まぢなんです」



「魔法にかけられてしまっているのか・・・・

 ・・・・シゲルさん、
 どこへでも転勤できるって、言ってましたよね?」



 
 これ以上、嘘や誤魔化しはヤバイと俺の第7感、
 俺のセブンセンシズがそう反応した。



「大丈夫です。あの世でもどこでも転勤OKです」




「・・・その魔法が取れる、
    良い
    方法が、
    あるかもしれない。。。。」


「計算さえクリア出来たら、もう何でも来いですよ!」



「シゲルさん・・・

 
 ちょっと、
     これで
       ひといきついて
            ク ダ サ   イ・・・




記憶はここまで。




劇的に眠くなり、


空を飛ぶような心地よい感覚・・・



その後、毎度おなじみの

「知らない天井のお迎え」

、、という訳だ。



枕もとの置手紙にはこう書いてあった

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博士の秘薬で
ちょっと異世界へ転勤していただきます。

そこでは計算と電気保安業務をしっかり
学んでいただける世界になっています。

3か月後の電気主任技術者試験の受験は申し込んでおくので
毎日死に物狂いで、多くの事を吸収してください


あ、

あとですね、

そっちの時の流れはこちらの10分の1なので、
約30か月あることになります。


月給も10分の1なので、時給は120円くらいになりますが

そっちでの「宿と仕事」だけは用意しておくので、
しっかり学んできてくださいね!

頑張ってください!
社長より

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じ、、

時給が 120円!!!




あーダメだ

思い出すだけで反吐が出る

そもそも、

なんで・・・

「ちょいと!!
 起きてるのかい?
 なに朝からボソボソ言ってるんだいコンチクショー!
 こっちも忙しいんだから、起きてるならそっちから声かけて来なよコンチクショー!」


・・・。



毎朝だ。



毎朝、



ジブリで出てきそうなババぁが起こしに来る。


名前は分からないが、

これは絶対ジブリで見たババぁだ、絶対。



今日は、

この世界から抜け出すための何かヒントにもなるかもと思い、

毎日書き綴ってきた日記を初日から振り返って読もうと思う。




あの社長、絶対ゆるさねー

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異世界転生したけど 
 電験のおかげでなんとかなった件。

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