第3話  異世界転生したけど電験のおかげでなんとかなった件。



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第2話
 
 電気主任技術者、大地に立つ! の巻

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最初は 匂い だった。


木の匂い。


木に包まれる、新鮮な感覚。


そこから、


声がした。。。


外からだろうか。

ガヤガヤした、声にもならない話し声。


どこかで聞いた、鐘の音。


痛みを感じた、首と肩。


見たことのない枕。


見知らぬ、木目の天井。



(・・・どこだ?ここ。。。)


合ってない枕の位置を変え、

首を楽にし、


肩を揉みながら、


視界に広がる木目の線を

ただただ、ぼんやりと辿る。



〈それは困りましたね。。。〉
〈大型の案件について頂く予定でした〉
〈シゲルさんの紹介をしてしまった後だった〉



記憶を思い出そうにも、

社長と女性スタッフとで話し合っていた内容が

うっすらと脳裏に記憶されているが、

そこからの記憶が全く思い出せない。



ここは、、どこだ。。。。



(とにかく、布団から出るか・・・)



布団から出ると、

誰のものか分からない、無地のTシャツに短パンを着ていた。


着せられていたのだろうか・・・



なんとなく、

腹部の短パンに手をやり、


凄くどうでもいいことだが、

自分がパンツを履いているのかどうかが気になった。


「!!」


しっかり白のブリーフを履いている。


こんなパンツ、小学生以来だぞ・・・・



自分で履いたのか、


履かされたのか、


謎は深まるばかりだ。



あたりを見回すも、

部屋には何もない。


机とベットがあるだけで、


ここがどこなのか、

手掛かりになりそうなものは何もない。


テレビもない、

テレビも無いけど、


不思議と、ありそうな感じが全然しない。


んんん???



不思議な感覚の1つが分かった。


この部屋には、



コンセントが無い。。。




(とにかく、、、出るしかないか・・・)



正直、怖い。


誰か飛び掛かって来るんじゃないか。



ゾンビ映画で見たような、


身体に繋がった医療用の線をブチブチと身体から外し、


誰も居ない病室から外へ出る。

あのシーンのまんま、である。


もしこれが映画のロケとか、

ドッキリで誰か監視しているなら、


俺のとった行動の1番最初は、

自分がパンツ履いてるかどうかの確認だった訳だ。


文化人として、誇らしい限りだ。



どうでもいい情報の整理だけはサクサク進むのだが、


ここがどこか、

なんでこうなったのか、



そこの情報だけは一向に追加情報が無い。

(部屋を、、出るか・・・)


俺は用心しながら、


自分がアンジョリーナジョリーやゴルゴ13であるように、


見よう見まねで今、習得したばかりの

静の構えをし、

呼吸法を整え、


恐る恐る部屋のドアに手をかけ、

そっと押そうとしたところ、

「!!!!」



なんと!!

ドアは向こうから開けられ、


俺は変な体重移動が掛かってしまい



ふくよかな謎の身体の上に覆いかぶさってしまった。


完全に、


俺は完全に、


おそらく女性であろうおっぱいの上に顔をうずめてしまっていた。


恥ずかしさとパニックで、顔をあげられない。



残念ながら、


静の構えが100のレベルで発動してしまったようだ。

「ちょっと、あんた朝から積極的だね、そんなことは一丁前になってからにしな!」


髪の毛を引っ張り上げられ、

やわらかなその大地から、顔を引き上げられた。


その時の俺は
どんな顔をしていたのだろう。


昔、間違って女子トイレに入ってしまった時の顔?

間違えて先生にお母さんと言ってしまった時の顔?


否。


目の前の女性は、


ジブリに出てくる謎のババァそのものだった。



俺は思うんだ。


自分が老衰で死ぬそのときの表情は、

多くの人に看取られながら、

人生を振り返り、

それは美しく、

それは儚く、

苦労や喜びに満ち、

全てを悟り、

全ての感情を超越した、

 無の表情 をしているはずなんだ。




確実に言える。




髪を引き上げられた俺は、



 無の表情 を発動していたと。





「お、おはようございます」


声になっていたかは分からない。


それでも、

あの時の おはようございます は、


2度と経験したくない、

この言葉しか出てこないランキング

ぶっちぎりで1位に輝く言葉だった。



しかし


ばばぁは

予想だにしない反応を見せたのだ。




「 おや?
    あんた、、、、

       誰だい???」






  え・・・?


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異世界転生したけど 
 電験のおかげでなんとかなった件。

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次回、
第4話 俺の名はシゲル 最強の電気主任技術者なのだ! の巻
つづくぅ!