第4話  異世界転生したけど電験のおかげでなんとかなった件。


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第2話
 
 電気主任技術者、大地に立つ! の巻

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「 おや?
    あんた、、、、

       誰だい???」




  え・・・?





店長は、キョトンとした表情で想いもしない言葉を発したのだ。


(俺の事を、、知らない??
 誰かとの手違いなのか??
 俺、、どうなるんだろう・・・・)


「いや、俺も何がなんだか分からないんです。
 新しい仕事が出来ると思って職場に来たら
 社長と話してるうちに急に眠くなって、、、
 気づけばここで寝てたんです」



「みずみず社長からは、
 粋の良いイケメンを紹介するから
 しばらく住み込みで面倒見てやってくれと言われたんだ。
 イケメンってのは、
 どこに居るんだい?早く連れて来ておくれよ。」



こ、、、


このババア…。




俺には分かる。

ちょっと面倒くさいところがありそうだ。




でも、今の俺にはこのババアしか頼れる道は無さそうなので、少し合わしてやろうと思う。


「そんなーそれひどいっすよー。
 よく見たら、、悪くないですよ?」



「・・・・」


「そんなことより、ココのことを教えて欲しいです!」


「なぁにあんたが質問してんだい。
 こっちは礼も言われてないんだよ。
 おっぱいに顔をうずめたこと、
 まずお礼が先だろうに」




「……。」


俺には分かる。

面倒くさいオーラがプンプンするほどに臭ぇ。





「いや、あれは事故なんです。
 俺もドアをあけようとしてバランスを崩したんです」



「事故でも出来心でも何でもいいが、危うく子供が出来ちまうところだったんだぞ?
 アタイの理性で止められたものの、アンタ、責任取れんのかい?」

「…。すいません。」


俺には分かる。

面倒臭いを凌駕する、

ドブのような匂いがプンプンする。



「分かったんなら、早くお礼を言いなよ」

「、、、泊めて頂いて有り難うございました」




そう言いながら、

ふと思ってしまう。



このババアが・・・

寝ている俺をベットまで運び

パンツや服を着せたのか??




そうと思うと

なんか心が萎れてくる。。。

考えても良いことは何も無さそうなので、
すぐに考えるのを辞めた。



「自分、シゲルって言います。
 なんてお呼びすればいいですか?」



「みんなはアタイのことを店長って呼ぶよ。

 ここはカフェの2階。
 余っている部屋をあんたに貸してるのさ
 そして、今日からアンタはここで働くんだよ。」



「ええぇ、そうなんですか?!」




「みずみず社長からね、こう聞いてるのさ」

 ・一人前の電気主任技術者になるための実務知識を
 ここに来るお客さんや先生から教わること

 ・帰って来たら受験をして、電験三種に受かること

 ・合格して、ビルの電気主任技術者として勤務すること

「あんたは学びながら寝るとこもあって飯も食える訳だ。恵まれた環境だよ。」



「は、はぁ。。。」



時給120円の言葉が脳裏に蘇る。。
が、考えると心が萎えるので、考えるのを辞めた。




「ここは、どこなんですか?」

「ここは、『ジカムラ』
 昔は鹿が沢山いた村だったことから、ジカムラと呼ばれているよ。
 そしてここは、そこで唯一のカフェ。
 『Cafe自家用電気』で『カフェジカ』ってんだ。あんたはそこの店員になるのさ。」

 

 ジカムラのカフェジカ。

 ややこしい名前だ。
 

〈チンチロリ-ン♪〉

下のフロアからチャイムが鳴る音がする。



「おや、そんなことを言ってるうちに、

 お客さんが来たよ。行くよ!」




店長のせなかを追いかけ、

僕は訳が分からぬまま木々の香る階段を降りた。



「あらいらっしゃい!ご無沙汰!」

店長が気さくに声をかける

が、

( !!! 
  まじか!!! )



玄関から入るそれは、

作業着を着た、狼の顔をしたニンゲン?!



「どうもー
 少し早かったですかー?」



「いや、もう入れますよ!
 ゆっくりなさってくださいな。
 
 あ、そうそう、今日から新人が入ったの。
 
 ほら、ご挨拶!
 名前は、、シ、、シコ、、、」


「シゲルです。」


「こんにちは。カフェジカで働けるなんて、羨ましいなぁ。シゲルくんは電気、好きなの?」

「いえ、電気はまだ全然。
 でも、電気主任技術者っていう資格を取らないといけないみたいで。」

「おやおや、電験を。
 賢いねぇ。道は険しいけど、若いから大丈夫だ!」

「この方は パンコネル さん。もともとはパン屋さんの職人さんだったんだけど、
 去年ようやく電験スパイラルを脱出し、今はパン工場の電気主任技術者をされてるわ」

「電験スパイラル?」 
 

「電験の網の目から抜け出せない例えだよ。
 電験には、理論・電力・機械・法規 という科目に分かれていて、
 それぞれ科目合格がある。

 合格にはこの4つの合格をもぎとらないといけないんだけど、
 3年目で合格をしないと1度取った科目合格が無くなり、復活してしまうんだ。

 僕は4科目の合格を揃えるのに、7年くらいかかったなぁ」 




「なっ、7年も!!」


「シゲルくんは、理論から?」


「いやまだ、それぞれの特徴も何も分からなくて。。。。
 そんな四天王が居るんですね」
   
パンコネルという狼人間さんは、
ニコニコしながら話をしてくれる。
でも、話の内容が分からない。

〈チンチロリ-ン♪〉





「お疲れ様ですぅ〜」


「あらあきら先生、お疲れ様です。
 今日から、新しい子が入ったんですよ。
 ほら、ご挨拶」


狼人間の後はどんな獣が来るのかと思えば、

ツタンカーメンの顔をした、人間のような ヒト型の何か だった。


「おおぉ、みずみず社長からビシバシ行けと聞いてるよ」



「さっそくアタシ、胸触られましたのわ」

「ええぇぇ!それは将来楽しみだなぁ!
 あ、パンコネルさんおはようございます!
 今日はイイGRが入ってますよぉー」



 なんだか・・・

 みんな楽しそうだ。

 というか、  

 話をしている言葉が専門的過ぎて


 同じ日本語のはずなのに、
 よく分からない言葉が多い  

 

今日からここで、

働くのか

 よし。

努力して1つ1つ、覚えていこう。



この、ジカムラから抜け出すチャンスが 何処かにあるかもしれない。



というか、



ここに社長は居るのだろうか。

社長に会って根掘り葉掘り聞かねばならない。

というか、勝手に眠らせてこんなところへ連れてきて、

これ大問題だぞ???



怒りがフツフツと込みあげる



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#シゲルメモ

電験は4科目から構成され、
スパイラルに陥ると7年かかる人もある難関資格

店長という人は豊満な身体をしているが
面倒なジブリババァ

部屋にコンセントが無い
電気が、ある世界なのか?
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第四話 おしまい

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異世界転生したけど 
 電験のおかげでなんとかなった件。

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第五話 謎の異世界カフェに、俺は立つ! の巻
つづく