全国の電気主任技術者さんが喜ぶ「電気事故を語り合う会」 コロナの今だからこそ…初のフルリモートイベント!の内容が明かされる… | 電気主任技術者(電験)専門の職業紹介エージェント

ミズノワの電気通信 ピカリ!

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全国の電気主任技術者さんが喜ぶ「電気事故を語り合う会」 コロナの今だからこそ…初のフルリモートイベント!の内容が明かされる…

  • イベントレポート
  • 2021.05.14

さてさて、お久しぶりのイベントレポート!

最近はあまり出していなかったのですが…

今回は突然リリースさせて頂きます!!!

なぜって?

最近はコロナもあって、カフェジカでのリアルイベントもできないですよねー

どうしようもないからこそ、思い切って

「よし!フルリモートでやってみよう!!!」

ということで、急遽初めての完全リモートイベントをすることに決定したんですよ!

そして参加者を募っていたら…

ふむふむ、

ん?

和田さんの名前が…

わ、ワダッチ!!!!

※今期、電験2種合格者無料招待Dayに参加頂いた、元プロの新聞記者で

 20歳電験1種合格者の鐵獣さんへインタビューを行ってくださったことが記憶に新しい

え、、普通に参加してくれるの!? ( ゚Д゚)

参加するなら、参加するならイベントレポート書いてくださいませーーーー!!🥺

ということで元新聞記者の電験2種ホルダーワダッチによるレポートを、とくとご覧あれ!

いつものイベント、電気主任技術者さんからこんな風に見えるんだろうなあ。。。。

普段とは違う景色をお楽しみください!

電気事故を語り合う/初の完全リモート/主任技術者の法律論、地絡事故の理論と実務/熱く議論

誰もが出合いたくない電気事故。

いざ発生すれば電気主任技術者には専門家として的確な対処が求められます。

技術者の能力向上を図る企画「電気事故を語り合う」が4月25日、カフェジカで開かれました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてZoomによる初の完全リモートで行われ、全国から18人が参加。

5時間あまりにわたって熱のこもった質疑応答を展開しました。

あきら先生と岡ちゃん先生、水島社長、あすみん店長が集まり午後1時スタート。

水島社長がリモート企画の狙いを説明し、1時半ごろからあきら先生の第1部講義が始まりました。

【第1部…電気事業法】

あきら先生が、電気事業法や電気設備技術基準など法令面から、電気主任技術者の仕事を解説しました。

これらの法令は電験受験では勉強するものの、正直とっつきにくい印象があります。

あきら先生は「独占業務である電気主任技術者の立場を、国の法律が保障してくれている」と指摘。

電気設備を安全に管理する責任を果たすためには、法令を理解し電気主任技術者として設備の設置者(オーナー)に適切に主張することが大事と、強調しました。

条文全てを把握する必要はなく、39条(事業用電気工作物の維持)、42条(保安規程)、43条(主任技術者)、48条(工事計画)など重要な条文を理解しておくことが重要とのことでした。

●工事計画書を作ろう

1万ボルト以上の需要設備の設置などでは、工事計画書の国への事前届出が義務付けられています。

あきら先生は、

・建物が完成したときに、電気設備が正しく施工されたかを電気主任技術者が正しくチェックするには、工事計画書が必要

・コンプライアンス(法令遵守)が求められる時代になり、工事計画書を作っておくと安全

-として、届出義務がなくても工事計画書を作成するよう設置者に促すことを勧めました。

ここで、岡ちゃん先生や水島社長から、

「小さい工事では、作成は難しい。費用と時間がかかり敬遠される」「業者と事前に工事の打ち合わせができないこともある」「電気主任技術者と施工業者のレベルも色々」と、工事計画書作成が浸透していない実情についても意見が出ました。

●オーナーとの付き合い方

中盤から「電子申請」「脱はんこ」「選任と外部委託」「洋上風力発電と電気主任技術者の関わり」と話題が拡大。

リモート参加者からは、「オーナーとの信頼関係はどう築く?」と質問が出ました。

あきら先生は、孫請けや下請けの業者と順を追って話して解決まで時間がかかった経験を挙げ、「権限のある人と話す」、水島社長は「事故対応をしっかりすることで信頼を得ることもある」と助言しました。

あきら先生は、電気主任技術者に報告がないまま需要家が負荷を拡大し、ブレーカーの容量を超えた事例も紹介。

「手書きでも良いから工事計画書は大事」と訴えました。

「文書化で共通認識を持つことが大事」(岡ちゃん先生)、「書面共有が大事」(水島社長)と、工事計画書の重要性でまとまり、1時間半ほどの講義の締めとなりました。

【第2部…低圧地絡事故】

●理論を裏付け 検証試験

低圧地絡継電器(LGR)の同時多発の検証試験。電気計算7月号(6月12日発売)に掲載予定という専門的内容に身構えましたが、結論から言うと、分かりやすく広がりのある講義でした。

今回の検証試験は、200ボルト=低圧回路での活線工事中に、電線→電線に触れた工具→躯体→B種接地極→対象の回路に電気を供給する変圧器(二次側にB種接地)へと低圧地絡電流が流れた=低圧完全地絡事故、がテーマです。低圧地絡が起き、そのままだと危ないため、低圧地絡を察知する検知器=低圧地絡継電器(LGR)が働き警報が出る。本来ならば低圧地絡が起きた変圧器のLGR1台だけが動作する。しかし、関係ないはずの変圧器のLGRまで同時に働く、どうして? というお話になります。

岡ちゃん先生の検証試験では、危険性を少なくするため100ボルト(電灯変圧器)を使用したそうです。

カフェジカ地絡1

図で、人工的に低圧完全地絡をさせたのはA電気室の電灯変圧器1台。ここで電灯変圧器のLGRが動作するのは正常です。しかし、A電気室の他のLGR7台とB電気室のLGR6台が同時に作動してしまいました。

C電気室では1台もLGRは動作しませんでした。

岡ちゃん先生は、A電気室とB電気室のB種接地極を共用している事と、設備機器の対地静電容量の増加が原因と推定。C電気室はB種接地極が別なので無事という訳です。

検証試験ではA電気室のB種接地極幹線に13・5アンペアが流れ、B電気室でもB種接地極幹線に約2アンペアが流れたそうです。

B種接地極が同じとはいえ、低圧地絡を人工的にさせていない変圧器でなぜ電流が流れるのか?(LGRが動作するのか?)

カフェジカ地絡2

この時系列グラフはB電気室の瞬時値波形グラフです。

赤色がB種接地極の対地電圧、青色がB種接地極幹線電流。

赤色の電圧は交流なので三角関数sinカーブを描きます。

赤色の電圧がピーク値のときに電流がゼロ、電圧がゼロのときに電流がピーク値になっています。

sinで言うと、電流の位相が90度進んでいる状態です。

★低圧地絡電流の影響でB電気室の交流各相の対地電圧のバランスが崩れ、B電気室につながった多数の設備機器の対地静電容量によって地絡電流が流れた。対地静電容量なので電流位相が90度進む。

電験向けに勉強した地絡や対地電圧、コンデンサに流れる電流の位相のずれ、などを思い出しました。

検証試験で示してもらうと、理解が深まります。

青色のB種接地極幹線電流波形が小さなギザギザを刻んでいるのは、回路内の配線の自己インダクタンスと浮遊静電容量との共振よると考えられるそうです。これも理論で勉強したことを思い出し、感慨深いです。

★対地静電容量が多くなるのは、設備機器の多機能化(マイクロプロセッサ内蔵)に伴いノイズ対策用フィルターや過電圧保護のためのバリスタ(SPD)などが増加させている。ということらしいです。

岡ちゃん先生によると、こうした現象はここ10年ぐらい前から増えているとのことです。

●RSTは○□△?

理論の理解を深めるため、家庭で使われる単相3線式(電灯線)、三相3線式210ボルト(動力線)、420ボルト動力線と電灯線が並行する場合について、地絡による対地電圧の変化について講義が続きました。

三相交流の△-Y結線も考慮するなど、難易度は高かったです。

各相の電圧をベクトルで考え、三角形の図形の問題に移す岡ちゃん先生の解説を見ていると、分かりやすく感じました。

合間で岡ちゃん先生が紹介した「三相交流のRSTの語源は?」という逸話も面白かったです。

古い時代には三相交流の相を区別するのに○□△の記号で示していたので、○=ラウンド(R)、□=スクエア(S)、△=トライアングル(T)に変化したのではないかという説。

アルファベット順かと思っていたので、新鮮でした。なお、UVWの理由に関しては知っていないそうです。知っている人がいたら教えてください。

●大規模施設のB種接地極は

上記事象で問題になったB種接地極の共有について、関西圏の実例が紹介されました。

20年前以上前の工事例では、誰でも名前を知っているような大型施設(2万2000ボルト受電)でもB種接地極が1カ所になっている。

比較的新しいグランフロント大阪や、あべのハルカスは、複数箇所のB種接地極を設けているそうです。

LGRの不要動作を防ぐためには、対地静電容量による電流を識別できる継電器を使う、という対策もあるそうです。

●サンスポって何

その後も、参加者を交えた議論は広がりました。

・400ボルト系の三相スター結線(Y結線)では、低圧地絡による対地電圧上昇が大きくなり、日本仕様になっていない海外製の設備機器が破損することがあったそうです。

・低圧回路の接地方式(IEC[国際電気標準会議])。欧米で主流のTN方式と、日本のTT方式の違い

講義で出た「サンスポ」という用語に参加者から質問が飛びました。

答は3回線スポットネットワーク。

なるほど。3回線あるため停電しにくく信頼性が高いとされるサンスポは、大阪市の駅やビルなど大型施設の多くが採用しているそうです。

その中にも資金力による格差があるとか。3回線あるとはいえ、変電所から街に来るまでにご近所の施設と共用すれば、波及事故の可能性が生じます。

某公共放送は3回線を変電所から専用線で確保。

講義前半で出た接地極も、電気室ごとに細かく分けられて万全、とのことです。

災害報道など公共性の高さをうたっている放送局ですので、停電させないために力を尽くしているのでしょう。

某新聞社の輪転機も、B種接地極が別々にされているという話でした。

筆者が前職(新聞社)で聞かされたのは、輪転機は20億円もする代物で、なかなか更新できないため輪転機の導入時期もばらばら。接地が別々なのは、資金力より、そういう理由かなと想像しました。

輪転機が紙を巻き取るときのモーターの制御などにも話が広がり勉強になりました。

筆者は、輪転機を見学したときに重さ1トンの巨大ロール紙が運ばれていて、「ひかれたら死ぬ」と怖かったのを思い出しました。

【第3部】

17時半から約1時間は、カフェジカメンバーの休憩に合わせた自由時間。

参加者から高圧設備の絶縁抵抗値はいくらあるべきか?という質疑応答がありました。

あきら先生からは、「ケーブルは他の機器と違い抵抗値が高くないといけない」と注意喚起。碍子などの絶縁低下は、碍子洗浄剤を用いて表面をきれいにする単純な作業が効果的だそうです。

形状が複雑で掃除が難しい機器は古くなったら諦めて取り替えるのが良いとの助言も。

ツタンカーメンの仮面姿で、がいしの洗浄を語るあきら先生の雄姿で、長い講義は幕となりました。

電験の勉強では、出題範囲の広さにくじけそうになります。理論と実務、色んな分野の知識がつながっていく電気の幅の広さを、今回の講義で再認識することができました。











ワダッチ ありがとう!ワンダホー!

やっぱり2種ホルダーさんの目線は違う!

いろんな方からもこの現場を見てほしい!

そしてその見えた景色を発信してくれたら面白そうだなー

なんて思っちゃいました!

イベントについて「面白そうだから書きたい!」という方!連絡くださいね!

次からはイベント料金無料にしちゃいます!

そしてそして、今回のリモートはテストイベントということもあって500円でさせて頂きましたが、

「この内容で500円は安すぎる…」

「めちゃめちゃためになりました。500円で大丈夫ですか?」

という意見の嵐でした…

そうですね、今回はテスト料金だったので、しっかりとリモート体制もできてきた今、適正価格に今後はしていく予定でございます!

(もちろん必ず技術者さんの懐を痛めは致しませぬ!)

それからね、ここまで読んでくれた皆さんにプレゼント。

岡ちゃん先生の講義の様子を公開いたします!

ぜひ見ていただき、また感想いただけたら、うれしいです!

ただこの内容…

電気計算7月号にも載る予定ですので、動画は発売後にお届けいたします!

(結局どっちやねん!ですね、ごめんなさい!しばらくお待ちください…)

さーて、さてさて

たとえコロナでも…

緊急事態宣言が出ていても

よりよいイベントを負けずやっていきますよ!

本当はカフェジカに来てほしいですが、今だからこそリモートでもお会いしましょう!

それではまた皆さん、リモートイベントへのご参加お待ちしております!!!