電気事故から学ぶ「電気主任技術者としての危機意識」 | 電気主任技術者(電験)専門の職業紹介エージェント

ミズノワの電気通信 ピカリ!

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電気事故から学ぶ「電気主任技術者としての危機意識」

  • イベントレポート
  • 2020.08.21

どんどん電気知識の密度が高まってきたカフェジカイベント。
今回はテイストも少し変えております。

現在、すでに電気主任技術者の方や、電気主任技術者に将来興味がおありの方なら、聞いて、見て、読んで、何かを感じて頂くことは決して無駄ではありません。

別ウィンドウで、今回の講義についての音声+画像解説をYouTubeにあげていますので、(https://www.youtube.com/watchtime_continue=1789&v=Ed2ySlBpW1c&feature=emb_logo
そちらの音声を聞きながら、下記をご覧になって頂ければ幸いでございます。

30年近く、現場経験を経ている技術者が惜しみなく、持てる知識、現場の生の声、経験を語って頂いています。

聞いて無駄になることなんて無いです。

令和元年度の事故事例が貴重な内容である事もさることながら、
技術者としては、永久保存版と呼んでもよいような内容ですので、是非ご覧ください。

何度もこういった会を重ねていく中で、我々もレベルアップしていければと思いますので、補足点や、追加情報、ご指摘などもあれば是非お声をお寄せくださいね!

ではでは、始めていきます。

8/1のカフェジカイベントは
中部近畿産業保安監督部近畿支部 電力安全課から出された
「令和元年度における管内の電気事故について」
カフェジカ技術顧問、あきら先生の解説になります。

「令和元年度における管内の電気事故について」について

これは令和元年度にあった電気事故について概要を紹介し、電気主任技術者をはじめとする電気保安担当者さんが事故の未然防止、電気工作物の安全性の確保など自主保安の向上に努めてもらうことを目的に作られた資料になります。

昭和40年以降の電気事故の推移に始まり感電死傷事故の現状(10年間の死者数や月別発生状況、作業者公衆別発生状況とその事故原因と発生場所など)を表やグラフで見ていき、そのあと電気事故事例を見ていきました。以下はその抜粋になります。

(感電負傷事故)遮断機の配線ミス

工場で設備修理作業を行うため停電措置を実施。遮断器を切ったのち、遮断器の端子部に触れ感電。本来は無充電のはずなのに… これは遮断器の配線ミスによるという…

(感電負傷事故)高圧配電線にふれた感電

住宅の屋根を改修工事をしていた作業員(半袖)が作業中に高圧配電線にふれて感電…
約8.7mから墜落。高圧配電線には防護管が取り付けられていなかった…

防護管は、電力会社に申請をすれば必ず手配を頂けるものなので、そこの横着が、事故に繋がりました。

(感電負傷事故)送電線にクレーンが接近し感電

トラッククレーンのブームが送電線に接近し2名が感電…
「触れていないから大丈夫、が引き起こした知識不足」

(波及事故)

工事中にハンドカッターで高圧受電用ケーブルを損傷。出迎え方式(受電店にPASなどを設置しない設備形態)で事故点が保護範囲外であったため、波及事故となる…

(波及事故)

架空高圧ケーブルがエコケーブルであり、シュリンクバック現象をおこし、絶縁破壊。ここも出迎え方式で事故点が保護範囲外であったため波及事故となる…

(波及事故)

地中高圧引込ケーブルが水に浸かった環境で地絡。出迎え方式で事故点が保護範囲外であったため波及事故に。事故点周辺で水トリーが確認。おそらく地絡の原因は水トリーなのでは…

(電気火災事故)

分電盤に取り付けた低圧コンデンサから出火し工場が全焼… 低圧コンデンサの経年劣化が出火の原因とされる…

このような事故事例を見ながら、じゃあどうしたら良かったのかということも含めて話して下さりました。

特にシュリンクバック現象では、エコケーブルはCVTケーブルより収縮をしやすいこと。その対応策として熱収縮チューブなどを取り付けることを現物も見せて教えて頂けました。

また、実際のカフェジカでの実験実証では、資料中にも大きな問題として取り上げられていた、PAS強制投入による波及事故について。(P23参照)1000Vメガでは、地絡ケーブルの不具合が分からないことがあるんです。

普段、6600Vで電圧がかかってるのに、1000Vしかあてない点検基準もどうなんだ?!という考えもありますが、多くの技術者、会社の保安規程点検基準が、1000Vのメガ測定でその点検を良しとしている現状があります。

カフェジカでは、地絡した水トリーケーブルと、健全なケーブルと両方ともに、1万Vメガと、1000Vメガを当て比べして、あえて地絡ケーブルでも1000Vメガでは良判定となる「恐さ」も体験いただけます。
また、1万Vメガの測定の方法なども、学ぶことが出来ます。

他にも未選任がいまだに多いということ、関西で引込が出迎えケーブルばかりだということ、感電は怖く細胞を殺すので壊疽をおこすということ、電線に当たらなくても接近することによって電圧が誘導される特別高圧の恐さ、エコケーブルは官公庁で指定して使われることが多いということなどなど、色んなことを教えて頂けました。

事故事例を知ることで、今日参加された技術者さんたちの危機意識が高まっていたように思えます。残念ながら参加出来なかった方も、是非動画と合わせてご覧くださいね

https://www.youtube.com/watch?time_continue=1789&v=Ed2ySlBpW1c&feature=emb_logo

事故事例を知り、原因を考え、その対応方法を知る。そうやって一つ一つ安全な環境を提供できる電気主任技術者の助けとなるイベントであればと感じます。

また、この日は事故事例についての茶話会の後、まるで「リレー試験部」のように、カフェジカのVCB受電盤でOCR試験を繰り返し繰り返し練習をされるお客様もおられ、「こんな練習できるとこ他に無いっすよー!」と喜んで帰って行かれました。

水島さん、めちゃくちゃ笑顔だったので、こんな空間を提供したかったんだろうなーとあらためて感じた瞬間でした。

と今回のレポートはここまで!

次回はどんなイベントがあるのでしょう…
楽しみにしてください!!!