「電気事業をもっと広く、全体的に見てみたい」ー電験1種を持つ弁護士!異色の経歴で活躍する若き電気業界のレジェンドに迫る!ー
- 技術者インタビュー
- 2026.05.26 更新日:2026.06.25
今回お話を伺うのは、電験1種&弁護士資格を持つ、タケベンさんこと竹内和生さん!
※電験アベンジャーズとしても、以前活躍していただきました!
レジェンド揃いの電験1種取得者…
またまた想像を超えるレジェンドの登場ですが、
今回はしっかりと切り込んだインタビューをさせていただきました!
現在は「電気も分かる弁護士」として活躍をされていますが、過去には選任の電気主任技術者や電気管理技術者としても活躍されていたという異色の経歴をお持ちの竹内さん!
電気主任技術者としてスキルアップするために知るべきことは?
電気主任技術者の資格をどう活かしていくといいだろう?
電気主任技術者をやっていて、法律への興味が出てきた…
そんな方は、ぜひこの竹内さんへのインタビューをご覧ください!
電気主任技術者の将来について考えていきたいという方も、ぜひチェックしてみてくださいね!
池田・染谷法律事務所
弁護士 竹内 和生
工業高校電気科を卒業後、大手電機メーカー社員、ビル管理の電気主任技術者、電気管理技術者の仕事を経験。
電気主任技術者業務の中で「法律」の重要性を実感して司法試験に挑戦し、弁護士資格を取得。大手電力会社の組織内弁護士(インハウスローヤー)として従事。
その後、「電気事業をもっと広く、全体的に見てみたい」という想いから、政府規制当局(経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会)に所属し、電気事業者の取引監視や電力政策立案に従事。
現在は、「国の電気事業の将来など、電気事業の全体像にかかわった知識をもとに電気事業者をサポートできないだろうか」との想いから、「電気も分かる弁護士」として活躍している。
将来志向が高かった学生時代
工業高校電気科出身の竹内さん。
「手に職を付けたい」という理由から電気科を選んだと言います。
「社会に出るなら学位(大卒)のような資格が要る」と考え、工業高校で学べる分野の中だったら電気工事士や電験などの資格が面白そう、と感じて電気科の道を進む決意をしたそうです。
高校を受験する段階で、将来の仕事のことまで考えられていたということですね!
電験2種まで持っている担任の先生のゼミに参加して勉強を進め、なんと、高校生のうちに電験2種まで取得!!
真偽は分かりませんが、「戦後2例目くらいの快挙なんじゃないか」と言われたんだとか。
電気の現場にいながら法律の勉強を志した理由

法律の勉強を始めたのは、電気主任技術者として仕事をしていたころ。
お客さんや取引先、さまざまな人と関わる中で、自分たち(会社)の権利を守っていかなければならないという自覚と、ではどうすれば権利を守っていけるのかという問いが生まれたと言います。
いろんなお客さんがいる中で、言うべきことと言っちゃダメなこと、守るべきところ、主張すべきところの見分けがつかないといけないと実感しました。
世の中のことをちゃんと知っておかなければならない、と。
「脳みそを使え。頭で当たっていけ。」——先輩からの一声
自分(会社)の身を守るにはどうすればいいのか悩んでいたとき、先輩から言われた何気ない言葉が、竹内さんの大きなターニングポイントになりました。
「俺(先輩)は身体で当たっていって解決するけど、お前は脳みそを使えるはずだから頭で当たっていけ」と。
竹内さん曰く、その先輩は交渉事が上手で、相手の懐に入っていくのが得意な方だそう。
「自分は先輩みたいにはなれない」と何気なく言ったところ、「お前は頭を使え、ルールを知っておけ。社会のルールを知ってるやつほど強い奴はおらん。」との返答が。
そのタイミングで、「法律を勉強したらどうか?」とアドバイスいただいたんだそうです。
「勉強しよう!勉強するなら目標が欲しい!」という想いが、司法試験挑戦へのきっかけでした。
「知りたい」っていうエネルギーと、その知識や資格を「展開したい」っていう想いが強いですよね!
さまざまな方と仕事をしてきましたが、きつい内容も受け止めながらちゃんとついていこう、って思えたのがよかったのかなと思います。
電気管理技術者から弁護士へ——「広い世界を見たい」という思い
4~5年の挑戦ののち、竹内さんは晴れて司法試験に合格します。
合格した当時は電気管理技術者をやっていた竹内さんですが、もっと広い世界を見てみたい、という想いで法律の道へ。
「電気管理技術者を続けていくか、お店をたたんで法律の道に進むのか」についてはとても悩んだそうですが、「もうちょっと外に出てみたい」という想いが勝ったと言います。
一度区切りは付けましたが、菅技は魅力的な仕事ではあると思います。
きちんと仕事をしていれば評価されるし。
今でも、何かの拍子で弁護士バッチ取られたら、絶対電気管理技術者の道に行くだろうなって思います笑
食いっぱぐれない仕事だ、とも竹内さんは言います。
資格を活かして仕事をする竹内さんだからこそ、まさに「手に職」という管理技術者の仕事は、個人事業主ではあるけれどある意味で安定している、という考えをお持ちのようです。
ただ、「良くも悪くも上が見えている」と言います。
それは、受け持てる点数(33点まで)の制限や、兼業できないルールがあるから。
いろいろな景色を見たいと思っても若干足かせにはなってしまうし、いわゆる副業のようなこともできない。
「それを思うと当時は、一回外に出てみて、暴れるだけ暴れてみたいなというような思いはありましたね。」と竹内さんは語ります。
「若気の至り」と竹内さんは言いますが、竹内さんご自身が「挑戦したい」という強いエネルギーをお持ちなのだと感じるエピソードでした。
逆に、電気管理技術者の仕事って「また戻ってこれる」のもすごい魅力の一つですよね。
それは本当にそうですね。
実際、各現場でも本当にいろいろなことを教えていただけましたし、楽しい仕事をさせていただいたなと思っています。
「難しい」と「取りにくい」——司法試験と電験一種の違い

一概には比べられませんが。
司法試験は「しんどい」、電験1種は「取りにくい」
という印象でした。
司法試験は、必要な知識が幅広いため、知識の詰め込みからアウトプットの練習をやりこんでいく「道程」が長いと言います。
ただ、司法試験の場合は、受験後の結果が成績として戻ってくるそう。
だからこそ、「ここを勉強すれば来年受かるかもしれない」という気持ちをモチベーションにできたと言います。
対して電験1種は、2種や3種同様で、試験後に具体的な結果が分かりません。
自分はどこができていないのか、何がダメなのかが分からないため、「暗闇の中を模索する」ような取りにくさがあると語ります。
加えて、電験1種は司法試験のように予備校や専門講座などがありません。
どこをどう対策すれば受かるという道しるべがないため、勉強を続ける辛さがあったそうです。
結局のところ、「最後までやってやりたい」という想いがモチベーションでしたね。
繰り返していれば必ずどこかのタイミングで受かるんじゃないかって想いもあって。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってことですね。
その考えが、頑張り続ける原動力になっていたのかなって思います。
現場を知る弁護士だからこその強み

ここで、電気主任技術者として従事した経験のある弁護士である竹内さんの強みを聞いてみました!
現場をイメージすることができるっていうのは、私の強みの一つなのかなと思います。
例えば、高圧の活線作業がどれだけ危険なのかが分かっている人と分かっていない人とでは、相談を受けたときの理解は少なからず違うんじゃないかと思います。
竹内さんは現場を知るからこそ、「現場でこういうことが起こってる」と相談を受けたら、「じゃあ保安規程を見せてください」、「保安業務委託契約はどうなってますか」というようにスムーズにお話しすることができる。
そこが唯一無二の強みだと教えてくださいました。
法律の勉強をしたことで、電気設備技術基準や電気解釈についてどこまでのことを守らなければいけないのかを理解できた実感がある、とも語ります。
実際、実務では電験の法規の内容だけで仕事を進めることは少ないと思います。
法律の勉強でいろいろな社会のルールを知れたからこそ、意識しながら仕事ができるようになりましたね。
竹内さんは、電気主任技術者として現場で活躍していた経験を活かし、現場や技術者のニーズに適う幅広い法務サービスを提供しています。
《主な取り扱い分野》
・独占禁止法/取適法(下請法)
・消費者法
・情報法 など
ご連絡先はこちら
弁護士紹介|竹内和生
https://www.ikedasomeya.com/kazuki_takeuchi
法律を知る立場だからこそ——電気保安業界に想うこと
電気と法律両方の知識を有する竹内さんに、電気保安業界の将来について伺ってみました!
電気保安業界は複雑な問題・課題も多くあるため、一概に「こうすれば良くなる!」と言えるものではありません。
今回は、まずは理想を発信しようよ!というようなスタンスで、電気保安業界の「こうなったらいいな」という未来を語っていただきました。
①電気管理技術者をきちんと資格制度化すればいいのでは?
外部委託の要件を満たす従事者は、保安業務従事者や保安業務担当者、電気管理技術者など、組織体系や担当によって名称が変わりますが、これは国家資格ではありません。
経済産業省への申請で許可があれば、この業務を行うことが認められるというものです。
だからこそ、法律上の位置づけをはっきりさせたらいいのに、資格として確立させれば分かりやすいのにな、と思うところがあるそう。
電気管理技術者というのは、「特定の設置者との関係で保安管理を行う外部の人」という建付けになっており、対外的に通用する資格にはなっていません。
一定の講習を受講することやある種の試験制度を作って「電気管理技術者」としての資格を与える、といった風な制度ができた方が、管理技術者として仕事をするために最低限必要な資質や素養がはっきりするのではないかと思っています。
現状「管理技術者」という資格は無いわけなので、きっちり資格化してあげた方がいいんじゃないかという意見を聞かせていただきました。
②もっと電気管理技術者が活躍できる場を増やせないだろうか?
兼業禁止(他に職業を有していないことの誓約)がもっと柔軟にならないかな、という想いがあります。
今は「複業の時代」とも言われているので、もっと自由に仕事できたらいいな、と。
ご存知の方も多いかとは思いますが、外部委託を業務とする電気管理技術者の仕事では、兼業禁止の決まりがあり、他に職業を有していないことを誓う誓約書を 経済産業省に提出する必要があります。
ただ、竹内さんのように複数の資格を持つ方で、「もっといろいろな分野で仕事をしてみたいけど兼業禁止があるから…」と、こういった決まりが足かせになっている方もいるそう。
「安全のためすぐに駆け付けられるのも重要だけど、電気保安業界の魅力向上のためには多様な働き方を認めても良いのでは?」とのことです。
確かに、電気主任技術者の仕事って認知度がすごく低くて。
それが理由で働き手が減っていたり、副業禁止がゆえに横のつながりが減って孤立していくっていうのも課題として考えられますよね。
外部委託はお客さんの心臓部を守る仕事なので、副業でお客さん対応ができなくなったら大変だから、という考えが根底にあっての法律だとは思うんですけどね。
だからこそ管理技術者協会があるのでは、と思うんですよね。
夜中の爆睡してる時でも行かなあかんのか?お酒も飲めないのか?ということも考えると、もっと柔軟に考えることができればなって。
電験、弁護士の資格、どちらも活かしたさまざまな働き方を経験してきた竹内さん。
だからこそ、兼業禁止があるが故に、電験は一つの職種しか活かせない、一つのやりたいことしか選べない、という現状には、どうにかならないものかと課題を感じているようです。
資格+「説明できる力」——これから求められる技術者像とは!?

主任技術者に限らずですけども、「質」で分けられるようになっていくべきなんだろうとは思います。
主任技術者の供給量はこれまで少ないと言われてきましたが、国の有識者会合で示された資料によれば、ここ5年くらいは需給が安定していくだろうと言われているそう。
つまり、ただ資格さえ持っていれば仕事はあるという状況も終わりが来る可能性がある、と竹内さんは分析します。
「安全性と経済性を考えたバランスのよいアドバイスができます」ということを売りにしていかなければいけない時代に来ているのではないか。
会社の経営層に対して、例えば「10の保安上の問題があるけれども、このうち3つは特に早期に対応しなないといけない」というようなリスク分析を踏まえた説明をし、アドバイスできる人が求められていくのではないか。
そう、竹内さんは予想します。
電気がどれほど怖いものなのかを会社の誰よりも分かっているのが電気主任技術者であるべきだと思います。
プロフェッショナルとしてのスピリットを持って正々堂々仕事をしていただきたいなと。
もちろん、私自身もそういう風にありたいなと思います。
トラブルがあったときの相談Q&A
Q:責任問題とか、辞めたいのに辞めさせてもらえないとか、業界では有名なハンコの話とか、電気主任技術者にまつわるトラブルはいろいろありますが、トラブルが実際起こったときはどういう流れになるんでしょうか?
いきなりメールを入れていただいても問題ありません。
そうしたら「1時間当たりこれくらいになります」という金額のお話をさせていただいて、了承いただいたら相談を、という流れとなります。
ただ、お受けさせていただく前に、所属する事務所で、ご相談者さんの相手方のご相談を受けていないかなど、利益相反関係がないかを確認させていただいています。
確認の結果、お断りさせていただくこともありますが、特に問題がなければ、メールでもお電話でも対面でも、ご対応させていただきます。
竹内さんのご連絡先はこちら
https://www.ikedasomeya.com/kazuki_takeuchi
Q:ミズノワでよく聞くケースについて、教えてください!
選任の場合で、設置者さんが電気への知識や設備保全の関心がなくて、とりあえず電験3種持ってる若手の子が選任を任されるケースについてです。
設備改善の要望が上に通らず、そんな不安定な設備を丸投げされて責任だけがのしかかるという事態になって、「責任が怖い」「仕事を辞めたい」っていう声って実際、けっこうあるんです。自分はきちっと点検報告していて、改修しないのは会社のせいだとしても、もし何かあったときは技術者が咎められる可能性もあるんでしょうか?
まずは、落ち着いて保安規程を読みましょう。
保安規程の内容に基づいて、保安上の問題点を上司にきちんと報告することが重要です。
ちゃんと報告していたのに会社が放置したことにより電気事故が生じた場合には、もちろん報告書の作成等の仕事は増えるかもしれませんが電気主任技術者個人として何らかの責任を追及されるようなことはあまり考えられません。
一方で、「実際に義務を果たしたこと」と「義務を果たしたことを証明できること」は違います。
メールで改善提案書を送っていたり、年次点検や月次点検の報告書に「確認しました」というハンコを貰っていたりすれば、保安規程上の義務を果たしていたことを証明することが容易となります。
ちゃんと言いましたよ、って証明できるための材料を残しておくことが非常に重要だということを頭の片隅に置き、自分に自信をもってお仕事してもらうといいかと思います。
電気と法律——知識を掛け合わせる強さ

電気主任技術者は、専門的な知識のもと、重要な職務・責任を担う仕事。
経験や知識不足からリスクある誤判断や、重要な点検をおこたると、大きな大きな損害に繋がることもあり得ます。
だからこそ、電気主任技術者職務に知見のある竹内さんが、電気主任技術者に寄り添い、電気保安において専門的な知識を有する弁護などが出来る、業界のトラブルを救う救世主に成り得る貴重な存在になるのではなかろうか…
そんな風に思うのです。
ミズノワでは、電気主任技術者を目指す方、電気主任技術者の資格を活かそうと考えている方を応援しています。
これからも、電気主任技術者の資格を活かして活躍されている方々へのインタビューを続けていきます!
皆さまが将来を考えるときの一助になればと思い情報を発信していきますので、ぜひ次回もお楽しみに!
大ボリュームでしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
【著者情報】
電気主任技術者メディア編集部
電験や実務など、「電気主任技術者」にまつわる情報に特化したメディアコンテンツ制作集団。
電気主任技術者専門の転職エージェント株式会社ミズノワが運営する「電気通信ピカリ」内の記事を執筆・発信中。
転職エージェントとして、求人案内総掲載数240件以上、求職者様の総ご相談者数2,500名を超える実績を持つミズノワ監修のもと、分かりやすくて面白いメディア運営を進めております。




